社交不安障害 名古屋

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社交不安障害・社会不安障害

                 
社交不安障害について特   徴診断テスト
弊   害原   因対   策
相 談 例

 

社交不安障害・社会不安障害について


社交不安障害はまだまだその名称に馴染みが無い方も多いと思います。その理由は以前には「社会不安障害」と呼んでいたものが、社交不安障害と名称が変更されたからです。人前で何かをすると必ず過度に緊張してしまい、ひどく苦痛を感じることで、その行為から逃げてしまうことや避けてしまいます。この社交不安障害は社会不安障害と共に「対人恐怖症」とも呼ばれていました。人が聞けば、緊張や不安なんて当たり前だよ、気にし過ぎだよ、となりますが、社交不安障害の方にとってはそんな生易しいものではなく、心的な動揺に留まらず、身体の反応も尋常でなく、本人にとっては耐え難くとても対峙直面出来ないため、生活や人生に目に見えた支障が起こる看過出来ない問題です。家族も親子も学校でも部活でも職場でも地域のことでも趣味やサークルでも、全てが人間関係で構成されています。「人生イコール人間関係」です。生きづらさを感じながら人生を過ごすことは良くありません。しかしこうなる起因が必ずあり、そこをより良く理解し、社会不安障害からの脱却を図ることが必要です。


人前で緊張するのは普通のことが、呑み込めない


人前で何かをするときには緊張するのが普通であり当たり前ですが、社交不安障害の方は「分かってはいるけど」とそれが呑み込めません。学生であれば学校においては、授業で急に先生から当てられみんなの前で答えなければならないことや、音楽の授業で人前で笛を吹いたり歌ったり、人前で何かを発表する場合。また、会社の会議で何かを発言するときや、朝礼で自分の意見や話を同僚や上司の前で話さなければならない場面などに緊張する場面。本来、これらのことは緊張や不安を感じることは通常であり当たり前と捉えますが、社交不安障害の方はそれでは収まりがつきません。その不安や恐怖により、授業に出席できない、会議に出られないとなると、社会生活に大きな問題となります。会議などに出席していても、苦痛が激しいと自分の意見を言えないなどの支障が起こります。また、人と食事が出来ない人もいます。レストランや食堂で食事が出来ないので、学校でも昼ご飯などを食べずに過ごす場合があり、食事の時間が辛くて学校に行けないという場合もあります。苦手なことをするのは、苦痛の伴うことなのですが、苦手なままにしておくと、社会生活の上で大変なことになります。クラスの授業のことだけでなく間違いなく友人関係も希薄になるなど弊害が出ます。自分の発言が出来ないことで、孤立してしまうこともあります。学校を出てからも、就職の面接に行けなかったり、面接でも上手く話せなかったりします。その結果、したい仕事が出来ないことや、なりたい職業に付けないということにも繋がってしまいます。そうなれば、思うように人生が進まず、自分自身にも嫌気がさしくすぶった生き方になってしまうことも充分に考えられます。


社会に出てから苦労する場合も


学生時代には症状がなくても、働きだしてから症状が出る人もいます。特にその時に苦痛を感じるのが、会議や朝礼です。会議では上手く報告できないことがあると、ずっと悩んでしまいます。また、そのつらさを感じて会議を休むとますますその仕事に取り組むことが辛くなってしまいます。朝礼などでは毎週日替わりでみんなの前では話す機会などがある場合がありますが、それが苦手なために、会社を休んでしまうといった行動をとる場合もあり、社会生活を営む上で、非常に支障が出てきます。また、異性と会話することが苦手な人も多いです。その結果、恋人ができずに時間を過ごしている場合もあります。自分(私)は女(男)嫌いなのだと自分で枠を作ってしまっている場合も多いです。しかし、治療を行っていくうちに、症状が良くなってくると、すぐに恋人ができることも多く、その人の人生は大きく変わってきます。


そこまで親しくない人にはっきりと自分の意見を言えない


社交不安障害の場合に問題となるのは、対人相互関係つまり、1対1の関係にも支障をきたすことになります。そこまで親しくない人に自分自身の意見をはっきり言うことが出来ません。自己主張が出来ないばかりに人に何かを頼まれても断れなかったり、人と違う意見を言うことが出来なかったり、気になる異性にもなかなか声を掛けられずデートや交際もままならず、ということも考えられます。周囲の人たちから見れば、何を頼んでも断らない「良い人」と映りますが、頼まれる本人は、内心は疲れ果てていて限界に達しているのに、断れないという場合も多いです。最終的には仕事や学校へ行けなくなるほど大変なことになります。また、はっきりと自分の意見を言えない人にとって苦手な存在は、同級生や同僚になります。この人と長く付き合っていかなくてはいけない。嫌われると困る。と考えると何も言えなくなってしまいます。そんな中でも不思議と1回限りのお客様であれば大丈夫、希薄な人間関係であれば大丈夫、という場合もあります。引きこもり状態だった方が、アルバイトを始めて、一人だったときには対応出来ていたのですが、応援が来るようになり二人体制になったところ、バッタリといけなくなり、再び引きこもりに戻ってしまったというケースがあります。社交不安障害の方は「中間的な親しさが主たる場面」が一番苦手であり困難であることが特徴として挙げられます。同僚や同級生に自己主張出来ないと様々な支障をきたします。就学上の困難や就職、結婚にも影響が出ます。人と適切な距離感で関係を築いていくことが難しいために、極端に相手に遠慮したり、気を遣い過ぎる結果、常に気疲れで人間関係が億劫になり益々、社交不安障害の深度は増して行く結果となります。

 

 

社交不安障害・社会不安障害 「特徴」


何か行動を起こさなければならないときには必ず、人目が気になり視線が突き刺さると感じたり、震えてしまうなど、そんな風にいつも動揺する自分は周囲に変に思われているのではないか、劣る人間に思われているのではないかなどの不安や恐怖に駆られることが社交不安障害の特徴でもあります。そして、またその状況下に陥ることを極度に恐れるが余り、次第にその状況を避けるようになります。


社交不安障害の主な症状


赤面恐怖症
人前に出ると緊張し、そして必ず顔が赤らんでしまう自分が嫌。そんな赤い顔を人に見られるのは劣等コンプレックスに苛まれるためにとても耐えられず、赤面しそうな場面を極力避けようとする。


発汗恐怖症
緊張する場面ではいつも汗が止まらなくなり、手や顔などの部分的に必要以上の汗をかく。汗が出ることが気になることを意識し過ぎ、余計に緊張状態が増してしまう。人と楽しむことよりも頭の中は汗のことが頭から離れず、やがて汗をかくことで会うこと自体を躊躇する。


対人恐怖症
相手がどう思うのか、どのような態度が返ってくるのかなどを非常に気にし不安を感じ、自分の意見がはっきりと言えなかったり、自分の思う通りの行動が取れなかったりする。そんな自分に自信が持てず、何か悪く思われているのではないかといつも疑心暗鬼となり不安になり場合には恐怖すら感じる。


視線恐怖症
人と目が合うことを極度に恐れる。人の目を見てはいけない気がする。人と目が合うとどうして自分を見ているのだろうと考え込んでしまう。人と目を合わせると相手が不快に思うだろう、など人により色々なパターンがあるものの、兎に角、人と目を合わせることを避け過ぎてしまうことにより社会生活に支障が起きます。特に電車など自分の周囲の人の目が気になり過ぎ、登校前、出勤前に既に疲れてしまいます。


書痙
人が見ているところで文字を書こうとするといつも手が震える。ひとりの場合や家族などの前では字を書くときに手が震えることはありません。自分自身の持つプライドが高い方に起こりがちです。人前では常日頃から認められ堂々としているのに、字を書くときにだけ手が震え、そんな自分を人はどう思うのか、心の中では笑われているのではないか、との不安や恐怖が襲うため、また手が震える結果から脱出出来ないでいます。


場面恐怖症
社交不安障害の方には、自分の持つ苦手な場面や状況になれば、極度に緊張が高まり、手や足が震える、吃音が起こる、頭が真っ白になる、など身体的な特徴が現れ、人前での行動に支障が起き実力が発揮出来ません。場面恐怖症の場所や症状は人により違いや特徴が異なりますが、いずれも場面・状況を固定化してしまいそこからの不安や緊張や恐怖から逃れられなくなります。


身体症状は意識すればするほど大きくなる


意識すれば意識するほど、赤面や震えの症状は激しくなり、緊張感と恐怖感は思う以上にドンドンと高まっていきます。この社交不安障害では、こうした悪循環に陥りやがて、人との関わりを極力避けるようになってきます。学生なら保健室登校、不登校や中退するケースも多く非常に深刻な状況となります。また社会人であれば人との関係に重圧を感じ退職し、転職を繰り返し、やがて人と交わらなくても良い仕事を求めるなどのケースも多く、最悪社会から完全に孤立してしまいます。また、家族や親しい友人の間であっては症状がみられるケースは少ないこともあり、社交不安障害である本人の苦しさが周りに理解されにくい障害であるとも言えます。社交不安障害に陥る年齢は幼稚園や保育園からの方も稀にあります。一般的には10代くらいの思春期が多いのですが、実際に問題を意識しカウンセリングを自ら受けに来られるのは、社会生活に弊害が出始める30代くらいの場合が多くなっています。当事者は苦痛を感じつつも誰にも相談できずに過ごしてしまい、どうしようもなく苦しむ状態になってから改善への相談に来られるケースが多いのが特徴です。


「限局型」と「全般型」


社交不安障害は、不安や恐怖を感じるのは、人前や電話、目上の人、同僚、初対面の人など、一つのシチュエーションに限った限局型と、どんな場合にでも起こる全般型があります。全般型の場合には、幼い頃からその傾向が出ていることが多いです。子供の頃からあがり症であったり、人目が気になるという場合には、少年期、青年期を過ごし、成人となった今でもその気質を受け継いでしまい、会議やミーティングの場などでも周りの人の視線や受け止め方が過剰に気になり緊張が高じて自分の意見を言えないということにも繋がります。


極度の緊張からくる身体的な症状


他人から注目される場であることや、目上の人や初対面の人と話すなどの緊張を強いられる場面、強い不安感や恐怖感を覚えたときに「動悸」「息苦しさ」「発汗」「赤面」「震え」「吃音」などの身体症状のひとつ位は誰にでも現れる可能性があります。このような身体症状や精神的苦痛が、日常生活を送る上で「障害」にまでエスカレートしてしまった場合に、社交不安障害という名称が付きます。何もせずに放置しておけば、うつ病になったり、その不安や恐怖のストレスから気を紛らわそうとアルコール依存症などの何かに依存することで問題を考えないようにしようとするので依存症を併発する可能性も高くなります。社交不安障害の症状は、家族など周りの人間だけでなく、本人も、自分の性格の問題だと捉えているケースもあります。周囲の人は「がんばれ!」と励ますことや、「努力が足りない。怠けだ。」と批判することも多いのですが、そういった精神論で問題が解決するものではなく、逆に障害を悪化させることもありますので、注意が必要です。


特別な病気ではない


社交不安障害はどの年代の人にも起こりうる症状であり、そこまで珍しく特別な障害でもありません。緊張や不安や恐怖を感じる病原菌も疾患もある訳ではありません。性格や思考の問題との捉え方の問題であり、それは生まれ育った環境や両親の性質や子への対応に起因することが殆んどです。しかし本人は自分が直面している「社交不安障害」による不安や緊張や恐れにフォーカスし過ぎるが余り、原因や起因に目を向けることがまずありません。自分の個体に問題がある、などの自己否定・自己嫌悪の状態に陥っています。そして社交性人格障害により実際に問題が起こるまでは自分自身で意識が低く見過ごされていることも多いです。しかし、そのことに対し自分の正常な状態を保っていられないほどの苦痛を感じるのであれば、その苦痛を取り除くための改善のために行動を起こすことも考えなければなりません。そして社交性人格障害を改善し克服することはとても有益なことです。近年社会問題化されているニートや引きこもり、不登校などの問題も社交不安障害と大きな関わりが間違いなくあります。

 

 

社交不安障害・社会不安障害 「弊害」


社交不安障害に陥れば社会生活や人生に、一体どのような困難や弊害があるのでしょうか。


仕事などでコミュニケーションを取るのが大変


仕事では、会議やミーティングの場などで自分の仕事の進展状況などを報告する場がありますが、そんな状況のときに極度に緊張してしまい、思うようにきちんとした報告が出来ないというケースもあります。また、望む望まないに拘らず管理職になってからは、今までのように自分の遂行すべき実作業である仕事の他にも同僚や部下、上司とコミュニケーションを取りながら仕事をしますが、その中で相手に気を遣い過ぎてしまい、自分の意見が明確に言えずに、我慢や無理をしてしまうことや、いつも周囲からの自分への評価や人目が気になり、赤面や震えが止まらなくなるというケースもあります。仕事上にも支障が出るようになり、そんな自分を嫌になります。そうなれば仕事以外でも人の多いところを次第に避けるようになり、最悪の場合には、全ての人間関係をシャットアウトして、自室に閉じこもってしまう場合もあります。社交不安障害の障害は、本人の性格として持っているものも多いのですが、それがひょっこりと思いもしないある時期に出てくることもあります。日常生活を営めないほど酷いものになっているときには、医療機関での受診も必要な場合があります。医師が処方する向精神薬も多少不安や恐怖は和らぐことを否定するものではありませんが、カウンセリングなどを通じ原因をはっきりと知り、それに対して認知行動療法などにより、思考の歪みを緩和させていくことが必要になるでしょう。


同僚や知人などの微妙な距離感がつかみづらい


家族や親しい知人など自分が安全だと感じられる相手に対しては、症状は出ないことが多いのですが、少し距離を感じる相手の場合には、世間話をすることや、なにかを一緒に取り組むことが難しく困難に感じ、その状況を避けようとする傾向が出てきます。大勢の前でプレゼンを行う場合であったり、電話で何か用件を聞く場合や取引先などの担当者と交渉事が苦痛で仕方が無い。またお母さん同士の会話であったり、そういった場面になると極度に緊張し不安感を感じる場合もあります。同僚や同級生においては、話をする上で自分の意見をしっかりと言えることも必要になるのですが、相手に嫌われなくないとか、上手く付き合っていかなくてはいけないと身構えることで、自分では無理をしてしまい、その状況を続けることが難しくなっていきます。


ニート、ひきこもり、不登校になるケースも


人目に晒されることに対して極端な程の緊張感や恐怖感、不安感を感じるために、そのような場面を避け、逃げるようになります。学生時代には自分の付き合いたい人とだけと付き合っていれば良かったことが出来なくなることに苦痛を感じ、社会生活にとても馴染めず、ニートや引きこもりになっているケースが非常に多くあります。周りから嘲笑れるのではないか、からかわれたり攻撃されるのではないかという恐怖感や緊張感を常に感じ、気の休まる時間がなく、とうとう外に出るのが怖くなってしまうケースです。社交不安障害の全般型の場合には、10代の若い時期からその傾向が出ていることが多く、人と接するのが怖くなり、結果その状況を避けている場合があります。


他人からの否定的な評価を恐れている


社交不安障害に該当する方は、他人からの否定的な評価を恐れるようになります。また、自分のすることや声を掛けること自体が相手に迷惑が掛かり、その結果拒絶されることに恐怖感を持つ人も多いです。恐怖を感じた場合には、手足が震えることや発汗、吃音や言葉に詰まること、気分が悪くなること、頻尿などの身体的な症状として現れます。状況に釣り合わないほど、深刻な状態が6か月以上に渡り持続する場合には、社交不安障害と心療内科や精神科では診断される確率が高いです。社交不安障害になれば、普通学校から定時制や通信制を望んだり、中途退学することや、職場での生産性や社会経済的な状況や生活の質が低下しやすくなります。男性の場合においては、自己主張や相手の態度や評価を恐れるが余り恋愛に踏み切れず独身のままでいたり、夫婦での意思疎通もままならず離婚したり、親になる自信が持てず子供を持たないことなどにも関連しています。また、社交性不安障害が趣味などの余暇活動を楽しめない原因にもなっています。社交不安障害には苦手な場面には「回避行動」に出ます。会議や朝礼を欠席したり、不登校になったり、他人と視線を合わす回数を減らすなどの行動に出ます。自分では辛いなと感じることも多いのですが、社会的にみれば未熟だとか、怠けているのだと感じられてしまうことも多く、本人の辛さが理解されないことも多いのが特徴です。

 

 

社交不安障害・社会不安障害 「原因」


社交不安障害に陥る因子には「不安を感じやすい体質」「小さい頃の体験や環境」などが挙げられます。しかし、原因の本質は圧倒的に「生まれ育った環境、両親の性質や子への対応」が起因となる場合が殆んどです。親に、「あなたは生まれた時からそうだった」と言われ、「私は生まれつきそうなんだ」と思い込んでいませんか?親の詭弁を間に受けたり惑わされずに、諦めたり放置しないようにしたいものです。


遺伝的に不安を感じやすい体質とは?


興奮や緊張を感じたときに、その刺激を大脳に伝えて、更に必要以上の刺激を伝えないように調節しているセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の受容体(レセプター)に何らかの異常がある場合、あるいは、恐怖や不安を司る脳の偏桃体が生まれつき小さく、不安が抑えられないなどがあります。しかし、考え方の思考パターンを変更することが出来れば、人を恐れることなく人生を楽しめるようになり、そんな性質を持つことにより脳内から良い物質は正常な質量をもたらしてくれると考えます。


小さい頃に育ってきた環境とは? 親の対応が起因となる


子供の頃に何か失敗をしては親からその度に注意や叱責されたり、出来ないことをからかわれたり、囃し立てられたり、そんな経験がトラウマになっている場合や、親が厳格で失敗を許されなかったり、強く親に叱責されたりすれば、子もちゃんとしなければと自分の失敗をおそれ完璧主義になり、それができない場合にはそれを回避する行動を取るようになります。また親の人間関係が希薄であれば、当然、子も人の交わりが少なくなり、母親などしか心許せず頼り依存してしまえば、外部の人間に対しては人見知りや引っ込み思案などの傾向が強くなり、失敗を極端に避けてしまい、人多い環境などを避けるようになります。また、ネグレクトなどの親が子に関心を示さない場合にも何をどう捉え考えて良いのか分からず、そのまま社交不安障害となる可能性が高くなります。


自分の状態を理解しつつ、社交不安障害と付き合っていく


社交不安障害になる原因にはいくつか要素はありますが、自分の性格や育ってきた環境や過去の体験を悔やむのではなく、今の自分を認めて、どのように社交不安障害と向き合い、今後どのように生きていきたいのかということを前向きに考えていく必要があります。恐怖や不安という感情は、危険を察知して行動を起こすためには重要な感情です。不安や恐怖は意味もなく襲ってくるものでもなく、その不安や恐怖があるために、対策を立てようと努力することにも繋がっていきます。人間は一人では生きていけないものなので、社交不安障害まででは無いにしろ、大体の人たちは大なり小なり人間関係で悩んでいます。そんな中で社交不安障害を理解し、そういった人達もいることが理解出来れば、思考パターンを柔軟にし通常の緊張や不安を感じる程度には改善はできる筈です。


公園デビュー・幼稚園入園・昇進など、人前で話すことが起因


出産後の公園デビューや、幼稚園保育園の入園時やその後に社交性不安障害を強く意識してしまったり、会社勤めの30~40代で昇進や管理職になることにより、社交性不安障害を自覚するケースも少なくありません。女性の場合ですと、出産後に子供と一緒に公園や幼稚園保育園などに行く頃になると、人見知りの性格などが顔を出してきて、社交不安障害に陥る場合があります。自分の親しい友人とはまた違った距離感で接さなくてはいけない場合が出てきますので、どのような距離感で付き合ってよいのかが分からずに、相手に極端に遠慮してしまったり、相手の言いなりになってしまったりすることで、付き合い方に疲れていく場合があります。また、男性の場合には、職場で昇進や管理職になり、同僚や部下などとコミュニケーションを取る機会が増えますが、そういった場合に、コミュニケーションを取ることに苦痛を感じてしまう場合などもあります。またプレゼンをする機会なども増えて人前で何かをするという機会が増えたときに、緊張することや、不安感や恐怖感が大きくなるケースもあります。


欧米人にも意外と多い社交不安障害


1993年にアメリカで行われた調査では、社交不安障害に苦しんでいる人は15%近くに上っているという結果が出ています。ネットワーク環境が整った現在では更にその割合は増えていることが想定されていると考えられます。同時期にスイスでも調査が行われ、16%の人が社交性不安障害に陥っていることが分かりました。日本では2002年に調査が行われた結果、2.3%の割合でした。内気な気質の東洋人に多いとされていた障害ですが、欧米では、「自己アピールをして、積極的に発言する」ことが求められることから、社交不安障害を抱えている人にとっては、その重圧により厳しい環境にあるとも言えます。日本では、人見知りの人やおとなしい人と見られて社会に溶け込んでいることも多く、障害として認知されていない部分も大きいですし、この社交性不安障害の自覚が極端に低い数字を鑑みれば、まだまだこの障害に対しての認知が少ないのも要因として考えられます。


性格だからと見過ごせない場合も


社交不安障害になる環境による気質は子供の頃から息づいている場合も多いのですが、それが日常生活に支障が出るような苦痛を伴っている場合には、社会生活を行きていくためには様々な弊害が生じます。ひきこもりなどに起因する「回避性パーソナリティ障害」なども社交不安障害を発症している場合も多く、カウンセリングなどにより問題解決を進めていく中で改善していくケースも多いので安心して取り組んで頂ける不安障害の一つと言えます。

 

 

社交不安障害・社会不安障害 「改善と対策」


社交不安障害を改善していくにはどのような対策を立てるといいのでしょうか。 もちろんカウンセリングを受けることを第一にお勧めしますが、下記に目を通し参考にして頂けたなら幸いです。しかし「でも、、けど、、分かるんだけど、、」となってしまうことも多いと思います。自分で出来る範囲で工夫をしてみるのも大切なことです。


思い込み=考え方のクセを修正する


カウンセリングでは社会不安障害に苦しみ、その弊害に陥りやすい考え方のクセなどをしっかりと認知してそれを改善していきます。人と視線が合ったときに、何かおかしいとか何か悪い感情を持たれているのではないかといったような考え方のクセを取り除いていきます。何か行動を起こした時に、失敗してしまうのではないかと考えるのではなく、上手くいくかもしれない。と考えて行動することや、何かマイナスなことが合った場合にも、たまたまそういう状況だったのだと考えることで気持ちが楽になることもあります。白か黒かのどちらかではなく、グレーなことも存在するのだなという考え方を持つことも大切です。また、否定的なことが起こると決まったわけではないことも知ると考え方は変わってくるでしょう。


暴露療法(エクスポージャー)


認知行動療法のひとつに曝露療法と言うものがあります。社交性不安障害の方には効果が高い実績があります。あえて苦手な場面に身を置くことで、不安や恐怖に慣れていく方法です。自分の中で「10人以上の会議でも発言できるようになる」「学校で指されてもきちんと答えられるようになる」と自分の克服したい点を明確にし、具体的な目標を数段階に分けて設定して、最終目標に向けて、一つずつ課題を実践していきます。「無理な仕事は断るようにする」というのもいいですし、「お母さん方と朝の挨拶だけはきちんとする」というのもいいでしょう。苦手だな。と感じる状況であっても、その環境に少しずつ慣れていくことで、不安や恐怖感が薄らいでくることはあります。話す相手を選ぶのであれば、自分が話しやすそうな人を選ぶこともいいでしょう。


ソーシャル・スキル・トレーニング


社交術を学ぶことで、対人不安の軽減を図ります。笑顔やリラックスした姿勢など、相手に友好的なイメージを植え付ける訓練をして「自分から微笑みかけて挨拶をする」「会話を楽しむ」など人の輪に溶け込んでいく訓練を行います。自分が笑顔で接してもらうと安心するように、相手も自分から笑顔で話しかけることで、少し警戒感を解いてくれる場合もあります。最初はどんな人かということを探っている場合も多いですので、相手に警戒心を与えないような対応をすることで、人の輪の中に溶け込んでいくことも可能です。当セラピーでは人間関係の訓練の一環で遊びサークルを設けており、そこに参加していただくことによりドンドン社交性を身につけて行きます。


薬物療法との併用も


病院治療においては、不安や恐怖が余りにも酷い場合には薬物療法と精神療法を併用する場合もあります。社交不安障害の場合には、脳内物質のバランスが悪くなっていることから、そのバランスを取り戻すために、薬を飲むことも治療の一つです。薬を飲みながら敏感になっている脳の反応を抑えつつ、自分の考え方のクセを改めていきます。社交不安障害の人の多くには物事をネガティブに捉えてる人というのも多く、いつも悲観的な未来予測をしてしまうことで、不安が積み重なっていくというケースもあります。カウンセリングなどを通して、物事をポジティブに考えられるように、考え方のクセを改めていけば、徐々に不安や恐怖感が収まっていき、社交不安障害が改善していくケースもあります。


性格だから仕方ないと諦めないこと!


引っ込み思案であったり、恥ずかしがり屋であったりという自分の基本的な性格は自分一人では簡単に変えられるものではありませんが、そんな中でも、何か少しずつ行動を起こして、これなら出来る。これも出来た。という成功体験を積み重ねていくことで、不安感などが減っていく場合もあります。自分の意見を言う場面においても、まずは一人の人をターゲットとして始めて見て、段々とその数を増やしていくようにするのもいいでしょう。また、こんなことを言うと嫌われてしまうかも。とか上手くやっていかなくては。と身構えてしまうことも、まずは挨拶をしてみようとか人の話を良く聞いてみようとか、自分の中で具体的な対策を立ててみるのもいいでしょう。発表するときには、目の前の皆んな全員かぼちゃだ。と思ってしまうのもいいかもしれません。自力で改善も良いかもしれませんし、カウンセリングで一気に考え方の変化を促し脱出するのも効率的で良いと思います。

 

 

社交不安障害・社会不安障害 「相談例」


23歳の女性の場合


1年ほど前から、初対面の人と出会うと恐怖を感じ、手が震え同時に顔が赤くなり、言葉に詰まるようになりました。上手く話しができないことで、相手に笑われるのではないかという不安に襲われて、その場から逃げ出したくなりました。接客職についていましたが、知らない人と会う回数を減らすために、事務職に転職しました。その後も、会社の会議で数名の前で発言しなければならない場面などになると、恐怖感が襲ってきて、会議の場から抜け出したくなってきたので、このままでは社会生活が営めないと感じて、カウンセリングを受けにきました。もともとおとなしい性格だったのですが、緊張することが大きかったので、少しずつカウンセリングをこなして行き、社交不安障害を正しく理解し、原因や対策や考え方の変化を促すことにより、緊張や不安や恐れを緩和させていきました。今では会社も通常に通えるようになり、少しずつ発表ができるようになるまで回復しました。


30歳の会社員の男性の場合


小さい頃から対人恐怖気味で、人と話すことを避けてきた男性は、とある会社で営業職に就きました。中学生のころから、自意識過剰気味になり、ちょっとしたことが気になってきました。授業中に先生に当てられれば、緊張して吃音気味になることや、ノートに字を書くときに先生が見ているだけで緊張し手が止まってしまいました。給食もクラスの誰かに食べているところを見られるのが凄く嫌で、壁に向かってひとりで食べていました。そんな中でも、家族や親しい友人とは話すことが出来ました。学生時代には決まった人との交流のみで生活できていました。社会人になって、営業の仕事をするようになると、緊張してどもり気味になることや名刺の受け渡しで手が震えることはありつつも、先輩について仕事をしていました。しかし、先輩に代わり自分が上司と報告のやり取りをするようになった時に、学生時代の頃のような社交不安障害の恐怖が出始め、上司への報告に強い緊張と不安を感じるようになり、人目が気になることで、社員食堂などの人の多いところにも行けなくなりました。会社でプレゼンがありましたが、緊張してしまい、赤面し何も話せなくなりました。自宅にいても、宅配便の人の目線が気になってサインが目の前で出来なくなり一旦部屋に戻ってサインをしました。心配した母親に心療内科を勧められて、治療を開始しました。処方された薬により多少緊張が和らいだ気がしましたが、根本の考え方を変えるまでには至らず、カウンセリングへ通い、医師から処方を受けた薬と、考え方や受け止め方の変化を促していく中で、少しずつ良くなり、友人の結婚式のスピーチができるまでに回復しました。


25歳の女性、会社で電話を取るのが怖い


25歳の女性は就職して、ある部署に配属になりましたが、時折掛かってくる電話に出るのが緊張しとても怖いと感じていました。部署以外の人からの電話も多く、誰にどのように取り次いだらいいのかということに混乱することも多く、出来ることなら電話を取りたくないと次第に感じるようになりました。誰から電話を受け継いでいるのかも分からない状態だったことも多く、緊張感は高まっており、電話が鳴るとビクビクしてしまうという状況になっていました。そこで、メンタルカウンセリングを受けることにより緊張する原因を一つ一つ探っていき、徐々に慣れることで、電話が掛かってきても慌てないように対応していくことを目標としました。カウンセリングを重ねるに従って、電話への恐怖感も薄らいでいき、最近では積極的に電話も受け応えや取り次ぐことも出来るになりました。


27歳の主婦の場合


子供を産んだ女性は、子供と一緒に公園デビューをしましたが、お母さん方との距離感が分からずに、一緒にいると疲れてしまいました。子供のための付き合いということもあって、付かず離れずの自分の間合いの関係を作りたかったのですが、上手く話すことが出来ずに、一人でポツンと孤立してしまうことが多かったです。子供が幼稚園に入ると、周りのお母さん方から何か言われるのではないかとか、仲間外れにされるのではないかと考えて、幼稚園の行事なども怖くなってしまい、付き合いを極端に避けるようになりました。旦那さんは、そんな状況に落ち込んでいる奥さんを見かねて、心配になりカウンセリングを受けるように奥さんに促しました。カウンセリングを通して社交不安障害を理解し、そしてその原因や要因を良く知り、認知行動療法なども交え思考パターンや行動も変化を受け入れることで、少しずつ周囲の方々と自分の思いも表現が出来るようになり、楽しく話が出来るようになっていきました。