回避性パーソナリティ障害・回避性人格障害 名古屋

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回避性パーソナリティ障害・回避性人格障害

 

回避性パーソナリティ障害 「思考パターン」


「傷つき易い」それは私たち誰にでも多かれ少なかれあることでしょう。
回避性パーソナリティ障害の「生き辛さ」を感じる思考や行動のパターンを「4つのタイプ」に分類して人間関係回避の傾向を見ていきましょう。

 

 

過剰反応する回避性タイプ

回避性パーソナリティ障害の中でも「過剰に反応するタイプ」の方は、特に他人の言葉や態度に過敏かつ過剰に反応してしまい、円滑な人間関係を築くことができないタイプです。
 

他人からの否定や悪意を持った言葉にだけではなく、さりげなく発せられた言葉や些細な態度にも自分の思い込みで強く過剰に反応してしまい 「自分は好意を持たれていない」「きちんと話を聞いて貰えない」「自分になんか関心がないんだ」「馬鹿にされた 」などのように極端な受け止め方や発想をしてしまいます。
 

相手はたまたま何か考えてて、ほんのちょっと返事が曖昧になっただけかも知れません。しかし回避性パーソナリティ障害の方の過剰反応タイプは、受け止め方に未熟な面が強く、自己中心的に考えるため相手の状況を考慮することや問い正して疑問を解決することが難しく、また相手からの否定や拒絶的な言葉をストレートに受けた時には何倍にも大きく膨らませることにより「自分はダメな人間だ」「生きている価値はないんだ」と、自分の存在の全てを否定されたように思い込み深く傷つきます。
 

自分の意見を指摘され恥ずかしい思いをした時や、悪意を持った言葉を浴びせられても軽く受け流す事も、自信と勇気を持って跳ね返すこともできません。次第に「自分が傷つけられるのではないか」と、いつも怯えるようになり、人といると緊張と不安からひと時も気が休まることが無くなります。常に動揺し、混乱し、憂鬱となり人との関係に益々消極的になり「回避の連鎖」に陥ります。
 

人間関係の不安感に怯えるが余り、自分自身の仕事や勉強などの本来の目標が疎かになることが多くなり、悩み多き毎日なのに一向に問題が解決せず孤独感ばかり強まり辛い毎日を送ることになります。
 

 

恐怖感の強い回避性タイプ

回避性パーソナリティ障害の中でも「恐怖感の強いタイプ」の方は「自分には良いところなんて無く欠点ばかり」「社会的に受け入れられず役に立たないダメな人間」と、無価値な人間と自らレッテルを貼ってしまっています。そしてそれに基づいた思考をするので、自分がやりたいと思ったとしても「きっと失敗するから」とか、「どうせ評価してもらえないに違いない」と、尻込みしたり逃げてしまったりと、とかく負の行動をしがちです。
 

「過剰に反応するタイプ」との違いは、自分自身を過小評価しているために「初めからこんな自分は受け入れられない」どころか、非難されたり 攻撃されたりするのではないかと「怯えに近い恐怖心」を持っていらっしゃいます。
 

「強い見捨てられ不安」の為に大切な人ができたとしても、素の自分を出す事ができません。「こんなことをしたら嫌われるかも」「こんなことを考えていると知られたらつまらない奴と思われるかも」「 こんなこともできないと分かったらダメな奴と思われる」「短所ばかりの自分を知られたらきっとフラれるに違いない」と恐怖心にがんじがらめになり、ノビノビと振舞う事ができません。本当は沢山の魅力があるにも関わらず、自分はダメ人間だと強く思い込み恐怖心がブラックホール化しています。
 

そんな風に 疑心暗鬼に相手の顔色を伺い、相手のちょっとした言葉や仕草にも「嫌われたかも」と、推測を元に勘ぐりが多く、怯えてしまい萎縮ばかりではいつまで経っても自分の良い面を出すことは出来ません。
 

相手を見ているようで、実は相手の行動に自分の負の感情を当てはめ、不安感をつのらせます。理由は自分に自信の無い為ですが、それではいつまでも相手を信頼することは難しく、また相手から信頼されることも難しいでしょう。
 

「愛し愛されたいけど素直になれない」「相手の事も素直に受け取れない」「自分も相手も信じられない」そんな思考を繰り返し、いつしか相手から傷つけられないように一定の距離を置くようになり、益々孤立を深めて行きます。 信頼と温かい交流を求める気持ちが強いだけに、孤独な環境での寂しい毎日は殊更に辛いものです。
 

 

自己を見失う回避性タイプ

回避性パーソナリティ障害の中でも「自己を見失うタイプ」の方は「人と関わる不安」を感じないように、ただひたすらに内面世界に引きこもるタイプです。
 

自分の空想の中に安全な場所を作り、現実社会の対人関係から遠ざかろうとします。
又はゲーム・ネットなどのバーチャルな世界に自分の居場所を求める方も多くいます。

 

バーチャルな世界で遊ぶことでストレス発散となり、本来なら自分自身を保つため有効な手段のひとつなのですが、「現実社会からの逃避」が目的でバーチャルな世界に住み続けることは、根本の問題から目を逸らしているだけです。
 

仮想世界では現実の自分とは異なった自分を演じたり、理想のヒーローになることもでき、自分の居場所を見つけたように錯覚し一時的には満足します。
今はチャットなどで名前や性別さえも自由に変えることができ、見知らぬ人を相手に違う自分を演じ、友人もでき居場所もできます。

 

中にはそこから脱出の手掛かりを見つけ、現実社会の友情にまで発展する例もあると聞きます。しかし殆どの場合には仮の姿で自分自身に対する否定感は残ったままです。こうした世界に浸り続ける事で「不安感」は一時的に回避しますが結局は空想の世界であり、現実社会に戻れば相変わらず無力で無価値な自分と向き合うことになります。
 

問題の先延ばしをし、時間を無駄に重ねることはこの苦しみを単に増幅していくばかりであり、自分自身の評価を一層低くすると共に身の置き場のないものにしていきます。無価値に思う自分を大切にできる筈もなく、自分自身の将来は元より、健康や身だしなみにも気を遣わなくなり、ついには自分の感情・希望・思いさえにも無頓着になり、正味の自分自身をも見失ってしまいます。
 

 

葛藤する回避性タイプ

回避性パーソナリティ障害の「葛藤するタイプ」の方は、決して人間嫌いでも、本心から社会との隔絶を求めている訳でもありません。「人ともっと関わり合いを持ちたい」との欲求を実は人並み以上にお持ちなのです。しかしその一方で「人と関わることで自分は非難されたり恥をかいて傷つきたくない 」との希求が余りにも強く、相反する欲求が交錯し葛藤にいつも苦しんでいます。
 

真面目であり控えめで努力家の方が多く、理想とする人間関係のパターンをお持ちです。友人と楽しく交遊しその中で自分が認められ評価されたり感謝されたい等の求める姿を描きます。社会の中でより良いポジションを得たいと思っていますが、現実は他人に自分の言動や気持ちをなかなか希望通りに受け止めて貰えないことが多く、どうして自分は正しく評価され理解されないのだろうと、理想と現実との落差に自信を失い苦しんでいらっしゃいます。
 

「こうあるべき」との自身の思い込みが強く「期待と幻滅」を繰り返すタイプとも言えます。例えば、たまたま気が合い会話が弾み良い人間関係を得たとします。嬉しくて相手に対して素晴らしい親友ができたと期待が膨らみます。勝手に理想像を描くこともあります。相手が期待通りの反応なら「私の全てを理解し受け入れてくれる理想の人」「運命の人」と幻想を抱き、救世主のように慕い自身の全てを託そうとします。が、一度見合わない事が起きてしまうと非常に落胆し幻滅し、深い絶望を感じてしまいます。自分の思いを裏切られたと 被害感情を持つ事さえあり、相手に対し侮辱したり攻撃的 になり問題行動を起こすこともあります。
 

回避性パーソナリティ障害の「4つのタイプ」の中でもこの葛藤するタイプの方は他人に対する攻撃性が強く、幻想と絶望の両極端な感情の動きを「理想家のこき下ろし」と呼び、これは「境界性人格障害」にも共通して見られる特徴です。
 

 

どのタイプも 不本意な環境に身を置き ニートや引きこもりといった幸福感に乏しい状況 に陥る危険性があり改善して充実した日々に変えていきたいものです。