回避性パーソナリティ障害・回避性人格障害 名古屋

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回避性パーソナリティ障害・回避性人格障害

 

回避性パーソナリティ障害 「弊害」


人間は社会的動物と言われています。
人は社会を構築しその中で生きて行き、他者との関わり無しでは生きられない動物です。しかし、回避性パーソナリティ障害の方は、その大切な「人との付き合い」を避けてしまおうとするのですから、それはそれはとても大きな問題です。

 

現在では多種多様な価値観が混在し人間関係が縦にも横にも、とても複雑に絡み合っています。このように複雑化した社会では自分の思いはなかなかストレートに通らず辛いこと、我慢することの連続です。それでも人は社会を離れ遠ざかりたった一人で生きて行くことはできません。
 

社会の中でしか生きられない人間にとって人との関わりを回避して行くことは致命的であり、生存の危機と言っていい程の状態なのは明白です。
 

まず、回避性パーソナリティ障害の傾向の方は、自分の素直な気持ちを伝える事が苦手です。いつも「自信がなく」「自分を過小評価し」「笑われないか」「拒絶されないか」「軽蔑されないか」と不安ばかりが先に立ち、そして勝手に恐れ秘密主義者のように素の自分を隠し、自分の考えや趣味、日常さえも話題にしません。
 

そのため親密な人間関係を築くのがとても難しく友人ができないため、軽い雑談も人生の困難な深刻な悩みも相談する相手がいなくて一人で抱え込み「負のスパイラル」に陥ってしまいます。
 

周りを見る余裕もなく、自意識ばかり強く自分の殻に閉じこもりがちとなり周囲からは理解されなかったり、誤解を生んだりしてそのことで本人は傷つき、益々人間関係を回避し続け次第に孤立を深めていきます。
 

批判されること、失敗することに敏感なため新しいことにチャレンジすることが苦手です。何事も初めはみんな素人であり、最初から上手にできるはずもないのに失敗や人より下手な事を恥じて尻込みし、自分よりできなかった人にも追い越されみすみす成長のチャンスを逃し取り残されてしまいます。
 

社会に出ても当然周りは自分を受け入れてくれる人ばかりではありません。自分に好意的な人以外との人間関係は不安でいっぱいです。批判・非難・拒絶を恐れるがあまり心に負荷が掛かり、緊張し自分自身の意見を話せずしどろもどろになり、良いアイデアがあっても自信を持ってそれを伝える事ができません。
 

才能があってもきちんと伝えることができなければ正しい評価を得ることが当然できません。寧ろネガティブな発想に陥り次第に人との関わりを回避するようになり希望の職業でもないのに人との接触が極力少なそうな職業を選んだりしますが、結果それすら続けることができず社会からはじき出されていきます。
 

本当は真面目で努力家なのに成果を生かせず、望みの昇進、権力を手にできないため、自分自身は不満とストレスと失望感でいっぱいです。身近な家族とも軋轢を生み家庭不和へと発展し、家庭生活にも行き詰まり、家庭内暴力・離婚・一家離散・孤独と悲しい成り行きを辿ることにもなりかねません。
 

学生なら不登校になり、社会人なら出社拒否から引きこもりへと、自ら完全に社会から隔絶した状況となり、孤独を選択しますが当然そこで安住することはできません。
 

引きこもりなど社会と離れただ一人となれば、理想とかけ離れた自分自身と当然向き合うこととなり、苦しんだ上に精神は更に病み、うつ病など身体に不調をきたしてしまいます。実際には実力があり、勤勉で豊かな才能を持ちながら幸福度の低い人生を歩むことはとても悲しく残念な結果です。
 

回避性パーソナリティ障害の方の本心は、人との関わりや社会の中で活躍し評価され、達成感や成功も望んでいらっしゃいますので社会で存在意義を見つけることができない現実とのギャップにいつも苦しまれています。
 

人との関わりを徹底し回避し孤独な世界に引きこもったとしても、結局は自分自身が抱いていた「無価値感を現実に確定させた」だけのことで良いことは一つもありません。その先には精神的にも身体的にも、ただただ辛い状態が待っているだけです。
 

このように回避性パーソナリティ障害を放置してしまうと、上記のような苦しみの弊害が固定化されて行くだけです。ほんの少し勇気を出して改善への第一歩を踏み出しましょう。