PTSD・心的外傷後ストレス障害 名古屋

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PTSD・心的外傷後ストレス障害

                 
PTSDについて症   状診断テスト
弊   害具体的ケース原   因
対   策

 

PTSDについて
心的外傷後ストレス障害


災害大国と言われる日本では、地震・津波・土砂災害など天変地異による自然災害や交通事故や事件や犯罪など、毎日のようにテレビや新聞でその悲惨な状況をタイムリーに報道しています。表面的な事実しか我々は知ることが出来ませんが、実際にその状況の中では、思いもよらぬ想定外のアクシデントに見舞われ全てを失い途方に暮れる方々や、一瞬にして起こった出来事に茫然自失の状態の本人や家族が必ず居ます。
 

それらの人のショックはとても我々が計り知れるものではありません。しかし人はそこから立ち直り精一杯生きて行こうとするものです。そしてまた人生を新たに歩もうとしますが、どんな人であろうが心に焼き付いた衝撃は一昼夜で回復するものではありません。
 

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、深刻な心の傷(心的外傷)や過大なストレスを受けた後に、精神的苦痛が短期~長期に渡り恐怖や怯えが継続する症状です。
 

PTSDを発症した場合には、急に気持ちが高ぶる状態である「過覚醒」と、何も感じなくなる状態である「無感覚」この二つに陥ってしまいます。その結果不眠になることや、抑うつ、不安、集中力が低下することなどが現れます。フラッシュバックという再体験により、何度も自分が遭遇したショッキングな場面が繰り返される恐怖に襲われ、常に恐れと怯えがあり、睡眠時にも悪夢として追体験をしてしまう程です。


 

心的外傷となる出来事は、事故などもあり


心的外傷になる出来事の例としては、大きな事故や災害、犯罪被害、戦争などに巻き込まれたりすること、生命を脅かす病気であると言われたり、繰り返して身体的な虐待や性的な虐待を受けることなどが挙げられます。そうした体験を思い出さないように努力はしますが、日常的に再体験することや、何度も繰り返しその記憶が蘇り苦しい思いをします。
 

PTSDの生涯発生率は統計によると全人口の9~15%、生涯有病率は約8%とされています。障害有病率以外の5~15%は症状が現れていませんが、潜在的にPTSDにかかっているケースがあり、ある時不意にその記憶が蘇る可能性を秘めています。PTSDはあらゆる年代で起こりますが、若年成人に最も多い症状です。男性よりも女性に多いのも特徴です。


 

辛い体験をしたときに起こりやすいPTSD


事故や事件などでPTSDに陥れば、その場所に行くことが出来なくなるケースもあります。また、家族にうつ病の経験者がいる場合には、PTSDになる可能性も更に高まります。また人によっては大震災の生存者は生き残ったことへの罪悪感を持つ傾向にあり、そこからPTSDに発展するケースもあります。
 

PTSDは独身者、配偶者と死別や離婚をして再婚していない人、社会から引きこもり生活している人、社会的経済水準の低い人などに多いとされています。そして自分の心を話さないことで表面化しないことも多いのです。PTSDは心的外傷を受けてから一定時間で症状が現れます。症状が現れるまでの時間は、人により個人差があり、短かければ1週間程度~30年という長期間に渡る事例もあります。恐怖から外に出られないなど日常生活が困難な重篤なケースもあります。


 

生死に関わるような恐怖を体験した時に起こる


PTSDは、自分の生死に関わるような危険にな目に遭うことや、死傷現場を目撃したりなどの瞬間的な強い恐怖を感じ、それが脳内のファインダーにしっかりと記憶に残ってしまい、それが心の傷(トラウマ)となり、その体験が終わった後にもその体験を何度も思い出したりして強い苦痛に襲われます。 命の危険を感じるような怖い体験をすれば、誰でもそれを思い出して辛く感じますが、1か月程度で自分の中の記憶が整理されて忘れていくことが正常な状態です。しかし、PTSDでは、トラウマの記憶が1か月以上に渡り思い出され、更に様々な症状を伴って苦しみ続けます。生活の様々な面でも支障が出ることから、治療が必要であり重要です。


 

DVや虐待などもPTSDの充分な原因となる


家庭内で受けた親からの暴力や夫からの暴力などのDVや虐待などもPTSDの原因になることもあります。日本では、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などがきっかけでPTSDは注目され始めた症状ですが、大規模な犯罪や自然災害だけでなく、大きな事故や単独の犯罪被害などでもPTSDになるケースもあります。PTSDを発症した人の半数以上が、うつ病や不安障害などを合併しています。人によっては、アルコール依存症や摂食障害を発症しているケースもあります。
 

PTSDに注目して、治療を受けることで、多くの精神疾患を治療することや予防することにも繋がります。日本でも、心療内科などのクリニックによるPTSDの診断と治療に関する知識は急速に普及しています。多くの医療従事者がPTSDやトラウマについての知識を身に付けて、多くの専門書でも取り上げられるようになりました。PTSDは自分では自覚していることが少ない場合があります。
 

もしPTSDの自覚症状があれば、一人で悩まずに医療機関やカウンセリングなど専門機関に相談するのもいいでしょう。なにか大きなショックを受けて、そのことが繰り返し思い出されたり、眠れなくなったりする場合には、一度専門機関を受診して、話を聞いてもらうのもいいでしょう。辛い体験を一人で抱え込まずに、誰かに相談することも必要です。
 

 

 

PTSD 「症状」


PTSDの症状はどのようなものがあるのでしょうか。心的外傷体験直後では無く、暫く時間が経過した後の場合などには、多くの人は亡くしたり失ったりしたもの対し、落胆し悲嘆にくれたり、何を気持ちが滅入るなどの虚無感に襲われると同時に恐怖感や不安などを感じる場合が殆んどであり、直ぐには立ち直れません。


 

フラッシュバックと悪夢


フラッシュバックとは、トラウマになった出来事を繰り返し追体験する症状です。日中に当時の体験をフラッシュバック(追体験)する場合や、睡眠中にまでも悪夢として現れる場合があります。どちらの症状もとてもリアルに、当時と同じ状況をまた経験しているように感じてしまいます。頭の中で記憶が蘇り、それと同時に、そのときの身体的・肉体的な感覚や匂いや音などもフラッシュバックの一因となる場合も多いです。大きな津波に合ったことがあるのであれば、海の映像を見ると、その時の状況が目の前で再現されているように恐怖の記憶が蘇ってくるような感覚です。


 

外傷体験に関連する刺激の回避や精神的な麻痺


心的外傷体験を何度も思い出すことは大きな恐怖と苦痛を伴うので、フラッシュバックやそれに伴う感情から自分の注意を何とかそらせようと試みます。趣味に没頭することや、一生懸命仕事に集中することであったり、パズルやゲームなどで気持ちを紛らわせるなどの行動に出ます。PTSD 心的外傷体験を思いだしてしまう関連性のある人や関連性のある場所などを避け、人との接触を避ける傾向があります。感情を麻痺させて、何も感じないように努めて、精神的な苦痛を和らげる対処をします。人との交流を減らすので、共に生活することや働くことに周りの人は負担を感じることも多くなります。


 

常に警戒している状態を過覚醒と言う


常に危険がないかと不安のあまりビクビクと怯えしてしまい、リラックスした状態を作れない場合もあります。この状態を「過覚醒」といいます。不安感から不眠症になったり、他の人が気になるほど、神経質で短気になったりします。その他にも、筋肉痛や下痢、頭痛や不整脈、パニックに陥ったり、恐怖心を持つこと、抑うつ気分になったり、過剰な飲酒をおこなったり、鎮痛剤を飲むなどの薬物の使用も増えていきます。常に神経を張り詰めているので、日常生活にも支障が出やすい状態です。PTSDなどの事情を知らない周囲の人から見れば、かなり神経質な人に映ることでしょう。


 

通常は回復することも多いが、残ることもあるPTSD


外傷体験はそれまでの人生は至って安全で平和であり、その環境の中で過ごしていて心地よいものだという感覚を、ある衝撃なことが起こることにより急激に一変し奈落の底へ突き落とされます。心的外傷体験を経ることで、いつ死んでも不思議では無いという恐怖感念に支配され、死の危険といつも隣り合わせであることを実感してしまいます。
 

PTSD症状は、実は死の危険に直面した恐怖心などを整理するために必要な回避行動とも言えます。誰でも殆んどの心的外傷体験者は体験後1か月程度でストレス関連症状がみられます。ストレス関連症状は大きなショックを自分の中で消化していくために起こる症状の一つでもあり、「急性ストレス障害」といいます。数週間程経過すると、そのストレス症状と自分の中で折り合いをつけて、また日常生活に戻っていくことが多いのです。
 

しかし、すべての人がそのように回復するわけではなく、30%の割合の人たちの中では症状が続きます。心的外傷後にストレス症状が現れるのはごく正常なことですが、症状が長期にわたる場合は問題となり、PTSDとなります。長期にわたると数十年単位で苦しんでいる場合もあります。戦争などが具体的なケースであり、いまだにベトナム戦争を経験した元米兵の老人の多くは、命のやり取りをした戦争の恐怖体験を忘れられず心的外傷後ストレス障害で今も多くの人たちが苦しんで生きています。


 

PTSDは心的外傷体験が激しいもの程発症する可能性が高い


心的外傷体験の衝撃が大きければ大きい程、PTSDになる比率と重篤の比重は高くなります。突然・突発的に起こったり、長期に渡り起こったり、その場に閉じ込められて逃れることができない場合、人災であった場合、死者が多い場合、手足を切断したり、喪失したりする場合、子供を巻き込んでいる場合などストレスや不安を感じる状況にさらされ続ければ、PTSD症状の改善はなかなか困難になります。
 

大きな事故に巻き込まれたり、震災などに合ったりすればPTSDになる可能性はより高まりますが、家庭内などで長期に渡り、親からもしくは夫からDVや虐待などを受けている場合にも長期間のストレスにさらされることになりますので、心的外傷後ストレス障害であるPTSDを引き起こすでしょう。そのことが何度も嫌でも思い出されるので、掛かるストレスも当然大きくなるのは必然です。当セラピーには離婚後にも尚、元夫から受けたDVや、母親から受けた虐待などで苦しむ方々年間通じて少なからずカウンセリングに苦しみの荷を降ろすために相談に来られます。
 

 

 

PTSD 「弊害」


心的外傷後ストレス障害であるPTSDにはどのような弊害が出るのでしょうか。一つには余りの恐怖感や怯えから日常生活などにも支障が出る場合が多く、精神的に不安定に陥り身体にも影響が出ます。酷い場合には外出も出来なくなりそんな自分に自己嫌悪を感じ心因性の精神疾患などが複数併発する可能性も高くなります。長く放置しておけばPTSDが収まって行くというものでもありません。長期に渡るほど改善が難しくなる為、早期に問題を解決する方向に舵を切りましょう。


 

PTSDの後遺症で次の一歩が踏み出せなくなってしまう


PTSDの影響で、自分の人生において次の一歩を踏み出せなくなるケースがあります。なにか自分にとって大きな心的外傷体験をすることで、また次もこのような体験をするのではないかと予期不安を感じ、自分の思い通りの行動が取れなくなる可能性もあります。また、何事に対しても怯えてしまい、人にも顔色を窺ってしまうことや、身構えるようになります。
 

人との交流を断つようになることや、自宅に引きこもることもあるでしょう。自分を守るための行為にもなるのですが、家から出られなくなってしまうと、日常生活にも弊害が相当に出てきます。何をするにもまたそのショックな出来事が起こるのではないかと考えてしまい、怖くなり怖気づいてしまいます。恐怖感や不安感などから、とても精神的に正常でいられなくなる場合も多いので要注意です。


 

通常であれば記憶が整理されて忘れていく


辛い体験をした場合でも通常の場合には、記憶が整理されて時間の経過とともに忘れていく場合も多いのですが、PTSDの場合には、そのショックが大き過ぎたために、いつまでも昨日のことのようにフラッシュバックされることが多いです。そのつらい体験を繰り返さないためにも、ある程度は覚えていることも必要なものなのですが、それがあまりに頻繁に繰り返されれば当然辛くなり、不眠になったり抑うつ状態になったりすることもあります。
 

少しずつ、自分の中でその出来事と折り合いをつけ、記憶の片隅において、むやみに思い出さないようにすることが大切になってきますが、脳の機能が正常に働いてない結果、否が応でも思い出されてしまうので、ゆっくりと少しずつ向き合っていくことも必要になるでしょう。つらい場面や状況を思い出したときには、誰かに聞いてもらうのもいいですし、自分の中でカンフル剤にすることもいいでしょう。また自分と同じような体験をして傷ついている人に話すことで、自分の傷が癒えていく場合もあります。


 

周りの人も疲弊して、二次対応が悪くなりがちに


PTSDになるとそれが長期間になり、苦しくなるケースもあるのですが、そのことを親しい人などに何度も話すと「まだ言っているのか?」とか「あなたにも落ち度があったのでは?」などと気持ちを傷つけられるようなことを言われる場合なども出てきます。そうなれば、もう話したくないと思い、話さずにいることが自分を守ることにつながるケースもあります。
 

そうして、問題点を話し合えないままに時間が過ぎていくことにもなります。本人も苦しいことですので、話したくなければ話さないのもいいでしょう。自分の中で、安全だ。安心だ。と感じられるようになるまで、周りは見守る必要が出てきます。せかしたり責めたりするのではなく、ゆっくりと回復を待つことも必要になってきます。


 

また起こるのではないかという予期不安


PTSDを生じてしまう程の何か大きなショックが起こればまた同様なことが起こるのではないかと身構えることも増えてしまいます。自分の身を守るためには必要な行為なのですが、それに怯えてしまうと不安感に押しつぶされて何もしないことにもつながっていきます。イライラしたり、不眠になったり、抑うつになったり、感情が無くなったり、普通の生活を営めなくなるのがPTSDの大きな弊害です。嫌なことを思い出したら、他に何か興味のあることに目を向けて、心を軽くするように努めてみましょう。
 

また恐怖感を紛らわすために、アルコールや薬物などにのめり込んでしまうケースもありますので要注意です。自分の中のトラウマと向き合い誰かに話すことや、専門機関の治療を受けるなどして、解決に努めていくことが大切です。PTSDになっている場合には、話したくない場合などには逆に事態の悪化となる場合もあるので周囲の方は注意も必要です。また問題点があれば、それを解決するべく周りの人も対応をしっかりと行う必要があります。
 

 

 

PTSD 「具体的ケース」


PTSDを発症する事例やケースにはどのようなものがあるのでしょうか。交通事故・職場・DV・性的虐待・災害などの具体例をいくつか紹介します。


 

大きな事故に巻き込まれた20代の女性のケース


歩道を歩いているときに、大きなトラックが突然突っ込み、多くの死傷者が出る事故にその20代の女性も巻き込まれてしまいました。幸いにもその女性は軽傷で済みましたが、事故に巻き込まれた他の方の中には重体の人もいたり、目の前で血を流して倒れている人もいたり、辺りは事故の激しさに騒然としていました。その事故を目撃、体験したことにより、その事故のことを繰り返し思い出して、恐ろしく怯えることが増えました。
 

また、それが原因で不眠症に陥ることや、事故を思い出す度に気分が優れない日が続き、会社が事故現場の近くであったことから、その場所に行くことが怖くなり、とうとう会社に出勤することもできなくなってしまいました。不調を感じた女性は当セラピーにお越しになり認知行動療法などの取り組み行い少しずつ前を向き始め、悪夢にうなされることが無くなり、今では会社に復帰する事が可能となりました。


 

会社でパワハラを体験した20代の女性のケース


会社で上司に強く叱責されたことでショックを受け体調を崩した女性は、会社を退職してからも大声で怒鳴る男性というのを受け付けなくなってしまいました。普通に生活していても大きな物音にビクビクとしてしまい、掃除機の音なども怒鳴り声に聞こえてしまい、掃除すらできないという状況になっていました。日々抑うつ状態に悩まされており、部屋はゴミ屋敷に近いのですがそれでも掃除ができません。
 

周りから苦情が来るのではないかと最近ではそんな恐怖感も持っています。心配した両親が駆けつけて、娘さんを連れて当セラピーに相談に来られました。大きな物音へのPTSDになっているのが当然理解でき、静かな環境に生活の場を移した状況の中でカウンセリングと心理療法を交えながら、大きな怒鳴り声などを聞くと体が凝り固まってしまう状況は次第に緩和していきました。


 

旦那さんからのDVにあっていた30代の女性のケース


うつ病により休職していた旦那さんは、イライラすると直ぐに汚い言葉で奥さんを散々罵り、暴力まで振るうようになりました。女性はどう対応して良いのか分からなく、自分自身の自信が薄れ、段々と無気力になり、眠れない日々などが続きました。旦那さんに寄り添ってもらい、心療内科にも出かけたりもしていましたが、旦那さんと一緒にいること自体で体調が悪くなる自分を感じるようになり、医療機関を受診しました。
 

旦那さんの治療に付き合いながら自分もカウンセリングを受けていました。結局、離婚を決意し、離れて暮らすようになったことで、少し落ち着きましたが、たまにその頃のことを思い出して、辛い気分になり眠れないときもあります。この女性の場合は、旦那さんと離れることで少しずつ、体調が改善し、定期的にカウンセリングに通った結果、最近では元気に前向きな自分を取り戻したようです。


 

幼い頃に性的虐待にあっていた20代の女性のケース


幼い頃に親戚の男性から性的な虐待を受けた女性は、長年PTSDで苦しんでいます。思い出したくなくてもその感覚を思い出してしまうこともあり、苦しく感じて、イライラすることもあります。定期的にカウンセリングなどに通って自分の気持ちを整理していますが、その時に受けた心の傷は大きく、今の自分の人生に大きな影響を与えています。いつもは思い出さないようにしていますが、ふと気が付くと思い出されることもあり自分が不浄に思え、耐えられない時もしばしばあるようです。一生そのつらさを抱えて生きていくことが定めのように感じつつ、毎日を過ごしています。定期的な心の辛さを緩和することが今後の課題となっていきます。


 

震災にあった40代の男性のケース


大きな震災にあった40代の男性は、ちょっとした揺れに対して物凄く敏感になりました。電車に乗っていても、ガタガタと揺れるだけでも恐怖が呼び覚まされてしまい、電車に乗れなかった時期もありました。また、多くの人が亡くなった中で自分が生き残ったことへの罪悪感のようなものも感じており、眠れなくなり抑うつ感に苛まれたりするようになりました。
 

カウンセリングなどを通して、少しずつ自分の気持ちを整理することが出来るようになり、現在は毎日を明るく過ごせるよう前向きな気持ちの維持に努めているようです。同じように事故や震災にあった人と話をすることや、同じような災害にあった人の話を聞くことで、自分のPTSDとも向き合っています。不眠などの症状はまだ完全ではないようですが、それも今は少しずつ改善されています。
 

 

 

PTSD 「原因」


PTSDは生死にかかわるような危険を体験したり目撃したりすることによって発症します。PTSDの発症率は、恐怖をもたらすような体験の重症度に応じて大きくなっていくことが知られています。しかし、そのような体験をしたとしても全員がPTSDを発症するわけではありません。そうなると心的外傷後ストレス障害を発症してしまう人には何か特徴なり原因があるのでしょうか。


 

過去に精神的な病気や虐待などのトラウマがある場合も


PTSDになるケースには、過去に精神的な病気にを患った経験があったり、虐待などの被害に遭い、そのトラウマがあるなど、同じような災害などの被害においても、女性の方がPTSDを発症しやすいとされており、また、遺伝的な素養があった場合には、多くのトラウマ的な経験をした場合に、PTSDの発症率が高まることが指摘されています。
 

PTSDが長期化する原因の一つに挙げられるのは、その事故や事件が起こったあとの、サポートがまずかった場合があります。被害などを相談した時に、心無い対応をされるなどの二次的なトラウマが発生することで、PTSDの回復は妨げられてしまいます。また、被害に関して適切なサポートがあった場合でも、体験を人に語ることを拒んで、引きこもってしまっているケースもあり、症状が長引くことも多いです。
 

その他、PTSDの二次被害では、アルコールや喫煙などの生活習慣の悪化も挙げられます。その中でも、カフェインの作用は、基本的には気分を爽快にするものですが、不安があるときには不安を強めてしまう可能性もあり、摂取には気を付けるといいでしょう。


 

PTSDの症状がプラスになるケースも


怖い思いをするとその時の状況を鮮明に覚えているので、フラッシュバックなどによりそのことを思い出すこともありますが、そうならないようにしようという気持ちが大きく働く場合もあります。過覚醒の状態は、再び危険な目に合ってもすぐに対応ができるように身構えている状態になるので、地震などの場合には、二度目、三度目の揺れを予測して、準備している状態にあるとも言えます。過覚醒の状態に陥ることで、いつまたその体験に見舞われても、準備ができているという状態にもなります。災害対策などをする上では、この状態が、プラスになることもあります。いつでもどこでも思い出すのは辛いことですが、定期的に思いだすことは、危険を回避するうえでも必要な行為になってきます。


 

PTSDの身体的な影響


PTSDでは、心的外傷体験の鮮明な記憶が影響しアドレナリンというホルモンが高レベルのままになっています。アドレナリンはストレスを感じるときに体内で分泌されるホルモンで、体を活性化して、行動しやすくする働きがあります。ストレスがなくなることでアドレナリンのレベルは正常値に戻ります。このアドレナリンが高レベルに達していることで、緊張してイライラし、リラックスすることができずに、不眠に悩まされることになります。
 

また、脳に存在する海馬は、記憶の処理に関わっていますが、アドレナリンのようなストレスに関連するホルモンが多く分泌されるようになると、海馬が正常に機能しなくなり、脳の機能に弊害が出ます。すると、外傷体験の記憶を処理できなくなり、フラッシュバックや悪夢が続きます。ストレス要因がなくなることで、アドレナリンレベルは正常に戻り、脳の機能障害は修復されていきます。そして、苦痛を引き起こす記憶が処理されて、思い出すことも少なくなり、段々と正常な状態に戻っていきます。


 

自分ではPTSDに気づいていないケースも


なにか抑うつ感が続いたり不眠が続いたりとしている場合にも自分でそれに気づいていないケースもあります。ただただ辛い日々が続き、気持ちが晴れないことや、辛い日々が続いているというものです。それを避けるにはその原因となるものから離れることが必要になってくるのですが、それに気づかずに、ストレスの要因をそばに置いている場合などもあります。辛いことなどは、正しい専門知識を持つカウンセラーなどに相談するなどして、少しでも気持ちを楽にしていくといいのですが、話すことも怖いということもありますので慎重に考え行動しなければなりません。
 

 

 

PTSD 「克服と対策」


恐怖と怯えのPTSDからの脱却には、カウンセリングを含めた曝露療法や薬物療法などを行っていくケースがあります。


 

トラウマを思い出し、認知を変える


曝露療法では、専門家はクライアントに対して、トラウマと関連づけることで避けている状況に、自分がそこにいる状態や避けている人物と一緒にいる様子を想像するように指示します。たとえば、その出来事が起こった場所に訪れる事などを指示します。
 

また、専門家は心的外傷の出来事自体について違った形で考えられるようにすることを支援します。トラウマには大きな不安感を持っているので、クライアントの言うことに耳を傾け、その時の不安感や恐怖感は当たり前の反応であることを伝えつつ、その出来事と向き合っていくように励まします。
 

また、辛い記憶を調整しつつ、パーソナリティーに統合するのに役立つ、不安をコントロールする方法を指導します。震災や事故などで生き残ってしまったことに対する罪悪感を抱いている場合には、その否定的な歪んだ考え方を理解させ、変化させるために精神療法を用います。
 

また精神科や心療内科などの対処療法としては、薬物治療を用いる場合もあります。抗うつ剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが役に立ちます。しかし、これらの薬物は対処的に用いられるものであるので限定的となります。 根本療法である心理療法により自分の考え方を変えていくことで状況が改善していくケースが多いです。


 

眼球運動脱感作療法も


眼球運動脱感作療法は眼球を動かしながらトラウマを思い出すことでトラウマを克服する方法です。またトラウマに焦点を当てないで、現在の人間関係の問題や職業上の問題に焦点を当てて、認知の偏りを修正し、現実に適応できるように対処していく方法もあります。またトラウマによって形成された世界が危険に満ちており、予測不能な事態が起こり対処困難になるといった認知の歪みを修正していきます。また、これらの治療方法を同じような悩みを抱える人たちと共に行うことで、心の回復を図っていきます。


 

PTSDを抱える相手には?


PTSDを抱えている相手の場合には、何気ない一言や行動などで相手が深く傷ついている場合もあるので、周りの人たちは焦らずに話を聞くことが必要になってきます。励ましたり何かを促したりするのではなく、静かに相手の話に耳を傾けるといいでしょう。本人がその話をしているときにはその話に耳を傾け、その話をしたがらないときにはむやみに聞かないことも大切です。またPTSDによる不安感やイライラ、興奮、無関心などは家族や友人とは関係のないものなので、個人との関係で捉えないことが大切です。PTSD患者の興奮やイライラは家族や友人との関係には関連性はありません。
 

子供の場合には、自分の心をうまく説明することが難しくなっていますので、しっかりコミュニケーションを取って、自分の自らの体験や今の気持ちが話しやすい環境を作るようにしましょう。甘えや赤ちゃん帰りをすることもあるかもしれませんが、叱りつけたりせずに、優しく受け止めてあげましょう。一緒に遊ぶことやスキンシップを取ることで、信頼関係を築いていくことが大切になるでしょう。


 

PTSDを克服するためには


PTSDを克服するためには早期治療が大切になってきます。トラウマになる経験があってから6週間以上たっても気持ちが不安でイライラ、抑うつ感などから解放されない場合には、早めに専門機関に相談し、周囲の方もサポートすることが必要になります。一人で抱え込んで、苦しい日々を過ごさないように、周りにもSOSを出すことも大切です。日々の生活でも、気持ちを穏やかに過ごせるように、毎日笑顔で過ごせるように努力していくことも必要になるでしょう。どうしてもつらい場合にはそのことを誰かに話すこともいいでしょう。専門機関などでカウンセリングを行うことでも、気持ちが楽になることもあります。自分の考え方を変えてみることも必要になってきますので、自分の心が楽になるように、カウンセリングなどを積極的に受けてみることから始めましょう。