強迫性パーソナリティ障害・強迫性人格障害 名古屋

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強迫性パーソナリティ障害・強迫性人格障害

                       
強迫性人格障害とは特   徴診断テスト
弊    害思考パターン原   因
認める大切さ対   策関 わ り 方
相談のケースQ & A

 

強迫性パーソナリティ障害とは


自発性に欠け「原理原則」を優先するが余り、結果「幸福を逃す」ものである。


あなたの周りにに原理原則がとても強く、自分の考えを決して曲げず、融通が効かない頑固な方が身近におられませんか?「そうそう、あの人はそうだよね」と、複数の該当者が思い浮かぶのではないのでしょうか。
 

しかし、強迫性パーソナリティ障害の傾向を強く持つ人の場合は「そんな傾向があるよね。」程度の生易しいものではありません。融通の利かない頑固者の領域を軽く超えて行きます。
 

「責任感」「義務感」「秩序」「常識」「生真面目」「頑固」「流儀」「完璧主義」「倹約 (ケチ)」
 

上記の特徴は、それはそれで有意義かつ結構な面でもあり、その気質を評価しても良さそうなものですが、その程度が問題となるのです。
 

それらの全てに於いて「度が過ぎる」のです。要はこだわりが強過ぎて本質を見失ってしまうためにとても幸せな状態には誰の目にも映りません。 強迫性パーソナリティ障害の方は、情緒面や文化的な興味が薄く、夢やユーモアなどのイメージからは掛け離れ、物事に疑問を持った場合には言うことも必要以上に細かく、相手との妥協点や妥協案の模索もすること無く「原理原則」により全ては決定されます。
 

そして強迫性パーソナリティ障害の方には、お金の概念にも特徴があります。お金とは最悪の事態に備えて「蓄えるもの」となります。趣味や旅行・行楽・ファッション・観劇・記念日のディナーなどの出費は厳禁であり家族の提案に首を縦には振りません。妻や子供が夢を語れば、即座にそれを批判し、懐疑的にしか受け止めません。そのため妻や子供は常にガッカリし、その生活ぶりに虚無感を抱いてしまいます。
 

そうなれば当然家族からの求心力は消え失せ、やがて孤立してしまいますが、本人は自分が正しいのであり、自分の気持ちを理解しない周囲に問題があると捉え、頑なにその偏った歪なまでの原理原則主義を手放しません。
 

本来であれば普通の人であれば「浮いている本人」に著しい苦痛を伴うことになるはずですが、原理原則に従わない周囲に問題があると思い込んでる訳ですから、強迫性パーソナリティ障害の方としては、自分に問題の自覚が無いことに対し悩んだり苦しんだりしないのも当然です。
 

それよりも妻や家族や友人や職場などの人が、その夢の無い思考、厳格さや融通の効かなさにガッカリし疲労憔悴し、妻は子供の前でも暗い表情となり、子供にも「幸福感の薄い母親」と接し、父を見ても「人生を楽しむ素養」が身に付かず、負の連鎖という二次的な被害が及ぶケースは少なくありません。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「特徴」


強迫性人格障害 (強迫性パーソナリティ障害) とはいったいどの様な特徴を持った人のことを指すのでしょうか、下記にまとめてみました。


古典的な縦系列の職場などでは責任感の強さもあり重宝される

几帳面であり整理整頓などを怠らない

規則やルールにこだわりが強く柔軟性に欠ける

決められたことをキッチリとこなすがクリエイティブさは持ち合わせていない

頑固であり妥協をすることは負けと捉えがち

自分自身の原理原則や信条や流儀などを曲げない

親には従順で尊敬もあり家族よりも親を優先する傾向を持つ

共感性が低く情緒面も軽視しがち

完璧主義なために妥協が出来ずそのために物事がなかなか進まない

自発性に欠ける割りには相手のすることに懐疑的であり異論を唱え批判する

華やかな喜びある生活には興味が薄く間違いがなく冒険をしない生活を望む

娯楽性が低く友人や仲間や家族との付き合いを重要とは考えない

自分の意に反した者とは頑なに付き合わない

テキトーが出来ず休日にも仕事のことばかりを考えている

必要以上に細部にこだわり過ぎ質問や確認を相手に繰り返す

妥協点を見出す能力に欠け結果相手は疲労困憊(こんばい)しゲンナリする

金銭に細かく出費を必要以上に気にする

何かあったらとの不安が常にありケチで所得に応じた消費をしない

お金の意識は娯楽などの出費を惜しみ破滅や破局に備える思考に終始する

妻や子が感情的になればその理由を理解することは無く不信感を募らせる

細部までこだわり過ぎ納期などの遅れが生じることもある

肝心なことと余分なことの区別が付きにくく本質を見失う

夢を語ること無く理詰めでものを言うため女性心理を理解することが難しい

贅沢や浪費を嫌い分相応を信条とし日々堅実倹約を心掛けた生活をする



強迫性人格障害・強迫性パーソナリティ障害とはこの様な特徴を持っています。この人格障害の場合には本人が自分の持つ気質に苦しんでいる場合は殆どありません。周辺や家族の様な身近な方達がその被害を受け苦しむことになります。自分自身が苦しんでいる場合にはこの強迫性人格障害ではなく、それは「強迫性障害」となります。強迫性障害の特徴は「わかってはいるがやめられない」何度も繰り返す手洗いや繰り返す施錠の確認などの「潔癖症」です。自分の流儀やこだわりが強過ぎることに対し正当と考える「強迫性人格障害」と「強迫性障害」とは基本的には似て異なるものなので混同に注意しましょう。この強迫性人格障害の傾向を強く持つ方は、私のカウンセリング経験で判断しても男性に多いのが特徴です。女性となると潔癖症が多いのですが、その場合にはこの強迫性人格障害も併せ持っている場合が多いのは確かです。

会社の同僚や上司部下、友人位であればまだしも、もしあなたの夫や父が強迫性人格障害であればこれは相当に困ります。夢や娯楽性が無く、原理原則が優先される世界はとても息が詰まってしまいます。しかしあなたが妻であればその人を選んでしまった原因もあることを認める必要があります。強迫性人格障害の本人であれば当然のこと、夫婦であれば尚のこと、この障害に向き合い取り除き正常な状態を受け入れ、共に人生の喜びを体感しなければいけません。

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「弊害」


強迫性人格障害・強迫性パーソナリティ障害は、一言で表すと「出来もしないのに完璧主義」であるといえます。完璧主義が原因で、柔軟性、効率性、協調性に欠け、周囲との関係も限られたものになってしまいます。
 

強迫性パーソナリティ障害の方は、完璧主義が故に、何か活動をするにしても規則や約束事に強く捉われます。活動の目的や主要点が見失われるほどに捉われてしまうのです。重箱の隅をつつくレベルまで徹底して規則や約束事を守り、周囲にも守らせようとします。
 

このような人は、行動の計画を立てる時に、実際実行が難しいと思われるくらい事細かく設定された過剰な計画を立てます。しかし、優先順位付け、時間の配分、決断等をすることが非常に困難で、結果、期限を過ぎて先延ばしになってしまうことがしばしばあります。
 

例えば、仕事で報告書を作成するとします。何度書き直しても「不完全だ」と感じてしまい、必要以上に時間をかけて作成します。しかし「不完全」に感じているのは、実は報告をする主軸の内容ではなく、図の配置であったり、文章の言い回しであったり本来の目的とはずれていることが多く、時間配分を考えないために、結果締め切りに遅れてしまいます。
 

当の本人は、締め切りや約束の時間に遅れてしまったことで周囲に迷惑がかかっていても、あまり気付いてはいません。すべて自分のやり方で物事を進めたいがため、なかなか人に仕事を任せられないのも大きな特徴のひとつです。
 

また強迫性パーソナリティ障害の方は、常に仕事や生産的活動をしていたいがため、息抜きの時間ももったいないと思っています。つまり「仕事脳」なのです。そのため、家族や友人と行楽に出かけることはほとんどなく、仕事に没頭します。例え出かけることがあったとしても、緻密なスケジュールを考え、提示し、同行する家族や友人に守るように要求してきます。
 

基本的な考え方が「自分のやり方が一番正しい」であるため、融通が全く利きません。「頑固」「こだわり屋」の域を優に越えてくるのです。そしてそれを家族、職場の同僚や後輩、友人にも「自分のやり方」「自分の考え」に厳しく従わせようとします。いわゆる「コントロール魔」で、分刻みで計画されたスケジュール、効率を度外視した仕事内容、持っていて当たり前と言わんばかりの強要等に、周囲の方はついていけなくなってしまいます。
 

他人が違うやり方や考え方を示してくると不快に思い嫌悪感を抱き、苛立つことがしばしばあります。加えて、自分自身が失敗することに関してとても批判的で、なかなか自分自身を認められないのも特徴です。時には些細なミスが原因で、落胆してしまい、結果、ヤル気の極端な低下、計画延期、途中中断をしてしまうことさえあります。
 

他にも、強迫性パーソナリティ障害の方は、物を集め過ぎるところがあります。自らにとって何ら思い入れもなく、利用価値のない使い古しであっても捨てることができず、溜め込んでしまいます。お金に関しても十分な生活費があるにもかかわらず、使用を極力抑えて生活します。こちらも「倹約家」「ケチ」の域を軽く越えてくるのです。
 

まとめると以下のような特徴が当てはまります。
 

活動の目的や主要点が見失われるまでに、規則や細かい項目にとらわれる

課題の達成を妨げるような完璧主義を示してくる

家族や友人と過ごす時間を犠牲にしてまで、自分の要件を最優先する

倫理、道徳やルールに強くこだわり、融通が利かない

思い入れもないのに使い古されたものでも捨てることが出来ない

他人に仕事を任せられず、自分でしないと気が済まない

将来への不安が強く不測の事態に備え生活の支出を過度に抑え貯蓄に励む

全ては白か黒かという思考をしてしまう



強迫性パーソナリティ障害の方は、一見、何事にも熱心で規律を守る真面目な人と思われますが、現実「完璧」にこなすことは非常に難しく、他の者への自分流のやり方の押しつけは、周囲の方々からは疎遠に扱われてしまいます。また、完璧への願望の強迫観念に苛まれ常に不安や葛藤を抱えることになるため、結果的にうつ病などの他の精神疾患を発症してしまうことも少なくありません。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「思考パターン」


強迫性パーソナリティ障害には、大きく分けて5つの思考パターンがあります。タイプ別にして下記に記します。
 

 

良心的タイプ


強迫性パーソナリティ障害は、一般的な社会のルールや道徳に従順なタイプであり、自分の良識や常識をアピールすることで「自分の存在意義」を確かめようとします。
 

「完璧を目指して努力をし、ルールを守ることは、他人から強い愛情を与えられること」
 

という認識があるため、常に一般的な社会規範や善悪に従って行動します。しかし、真面目に頑張っても評価されない場合は、強烈な「見捨てられ不安」や「自己嫌悪」などの感情に襲われてしまいます。
 

このタイプの人は、出来るだけ社会に適応しようとするため、人の意見や価値観に反発することはほとんどありません。そのため、他のタイプと比べて、対人関係のトラブルを起こすことは少ないと言えます。
 

 

禁欲的タイプ


物事や人に対して「白か黒か」「善か悪か」という考え方をしてしまうタイプです。人に対する評価も「正義か不正か」を重視するので、臨機応変に融通の効いた判断をすることができません。
 

このタイプの人は、サディスティックな攻撃性や怒りを抑圧しているため、相手が道徳的、社会的に「悪」や「不正」の立場にいることが分かると、揚げ足を取るように突然攻撃的になることもあります。
 

中世の聖職者や現代の原理主義者に多いのもこのタイプであり、自分が禁欲的な生活をして「善」になることで「悪」の立場にある人を厳しく攻撃したり、処罰したりすることに快楽を感じます。
 

 

官僚的タイプ


大企業や官邸などの大きな組織に所属することで、自分の存在意義を見出そうとするタイプです。
 

そういった組織の中で、与えられた仕事を確実に果たすことにより、自分の内面の問題から目を逸らし、自尊心を高めようとします。
 

このタイプの人は、上下関係や社会的な地位を重視するために、きちんとした組織の中で自分に役割があることに“安心感”を得ますが、逆に「責任」や「役割」が曖昧な人に対して“不快感”を感じてしまいます。
 

対人関係においても、相手の職業や社会的地位をそのまま人間的価値として認識してしまうため、差別的で冷たい人と思われてしまうことも珍しくありません。
 

 

倹約的 (ケチ)タイプ


所有物や金銭に対して過剰なまでの執着心をもっているタイプです。
 

「旅行や趣味趣向にお金を費うのは勿体ない」
 

「クルマは走ればいい、時計は動けばいい、服は着られれば充分だ」
 

「将来の不測の事態に備えて出来る限り出費を抑え貯めておくべきだ」
 

と、特に金銭に対する執着が典型的であり、強い意識を持っています。もちろん備えは大切ですが、このタイプの人は、洋服にも無頓着で毎日同じ服を着回しするように日常生活が質素になり過ぎたり、自分の欲求や健康を犠牲にしてまで、お金を貯めようとする傾向があります。
 

この根底にあるのは、「所有物を失ってしまうかもしれない」という強い不安であり、幼少期に愛情や欲求を奪われたような経験が、過度の執着を生み出していると考えられます。つまり、このタイプの方が求めている愛情や承認が「所有物」という形に置き換えられているとも言えるでしょう。
 

 

混乱的タイプ


強迫性パーソナリティ障害が持つ特徴的な感情や怒りを抑圧し「理想的な正しい人」を演じるタイプですが、本人はそれに息苦しさや無価値観を感じています。つまり、自分の「~したい」という欲求と「~すべきだ」という社会のルールの間にいる状態で、どうしたらいいのか分からず混乱している状態だと言えます。
 

また、対人関係においても「自分の主張」と「他人の要求」の間に挟まってしまい、自分で物事を決断する事が出来ません。
このような混乱状態によって、人生の目的や自分の欲求を見失ってしまう傾向があります。

 

 

上記の5つのタイプのように、ハッキリと分類することも出来ますが、実際にはそれぞれの傾向は重複する場合が多いです。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「原因」


強迫性パーソナリティ障害の原因は、はっきりと解明されていないのが現状と考えられているのが一般的な見解です。しかし、実際には家庭環境や親から子への教育方針が大きく関わっているのは必然です。
 

特に、幼少期に親から「厳格な躾を受けたことが起因」となり、強迫性パーソナリティ障害につながってしまうケースを、今までセラピーでのカウンセリングから多くの事例を何度も確認しています。
 

マナーや立ち振る舞い、言動や考え方に至るまで、事ある毎に親から厳しく指摘され、それが出来たとしても決して褒められず、「出来て当たり前」のような態度の考えが日常化していると、子は「褒められたい」「愛して欲しい」との渇望により「(完璧にこなして)認めて欲しい」気持ちが益々大きくなります。
 

完璧な結果を出さなければ、両親からの愛情が得られないという経験が、些細なミスや失敗に対する不安へと繋がり、強迫性パーソナリティ障害の特徴である「完璧主義」へと発展していきます。
 

躾の強度は家庭によって様々ですが、理不尽な体罰や「お前はダメだ」というような過度な批判を受けた子どもは、親に対して「怒り」や「攻撃心」を内心に持つようになります。しかし、子どもは“親がいなければ生きていけない”という不安があるため、そういった感情は一旦抑圧されます。そして親に対する攻撃性から解放させるために、時に自分よりも弱い立場の相手を攻撃したり、虐めたりしてしまうことがしばしば見受けられます。
 

親の支配力や権力に対する怒りや攻撃性が解消されないまま大人になれば、両親との上下関係(支配と服従)が現在の人間関係に転移し、本人も下位の人間に対して、支配的な態度や言動を取るようになります。このように「どれだけ頑張っても自分を認めてくれない親」のイメージが心の奥底に潜んでいるのです。
 

また、何度もミスを咎められることにより、「ルールを完全に守ること=安全である(叱られないため)」という考えが刷り込まれます。「ミスをした自分」から「咎められない自分」になるためには、自分の判断よりも社会のルールに従う方が早いと考え、結果自分の判断に対する不安感を抱くようになります。自発的な判断への不安は大人に成長しても消えることはなく、予防策として社会のルールを「完璧に守ること」を盲目的に固執するようになります。
 

強迫性パーソナリティ障害の方は、女性よりも断然男性に多く、その理由は、長男として跡取りとして一家の将来を担う存在になり得るという親から子への期待感による、幼少期からの過度な躾が大きな要因となります。
 

また、両親が強迫性パーソナリティ障害の傾向が強いと、子どもにも一切のミスは許さず、完璧を求めてくることも大きな原因のひとつと言えるでしょう。
 

いずれにせよ、強迫性パーソナリティ障害の傾向が強い方は、幼少期の家庭環境、教育方法が強く関係し、原因として切っても切り離せない背景であることは間違いありません。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「認める大切さ」


強迫性人格障害の場合の基本的な特徴は、完璧や秩序にとらわれて、本来の目的を見失い、柔軟性や開放性、効率性を損ねています。強迫性人格障害の場合には、規則や手順、形式などに極端にこだわって、本来の目的を達成できないという場合も多いです。


秩序や規則にこだわるあまりに本来の目的を見失う


例えば、仕事で報告書を作成するときには、いくら書き直しても不完全だと感じて、結局締め切りに遅れたり、プライベートでも完璧にこだわって、床を掃除する時も一つの個所をピカピカに磨き上げるような掃除の仕方をします。締め切りに遅れることや約束の時間に遅れることで周囲に迷惑が掛かっても、その点についてはあまり気にしません。常に、生産的な活動を行いたいと思っており、息抜きする時間などはもったいないと感じる傾向にあります。また家族とすごすことなどは少なく、仕事に没頭するタイプが多いです。友人との過ごし方では、スポーツなどは型にはまったものを好み、自分で入念に計画を練り、それを他人にまで厳しく守るように求めます。できないことに対してもできるように言うなど無理難題を言う場合も多いです。倫理や自分の価値観にやたら誠実で、融通が利きません。人との摩擦が起きているのにもかかわらず、合わせることができないことで、トラブルが増えていきます。


自分では気づいていないことが多い


強迫性人格障害の場合は、自分では周りに迷惑が掛かっていることに気づいていない場合が多いです。厳しいルールを自分だけでなく人にも当てはめることや、完璧を求めるあまりに、本来の目的を見失い、他人から苦情が出たりすることで顕在化します。しばしば物を集めすぎる人も多いのが特徴です。物を集めすぎていることを自覚するのですが、「いつかは役に立つだろう」と考えて捨てられないことも多いです。また、すべて自分の仕事のやり方で物事を進めたいと思っており、人に仕事が任せられないという特徴もあります。掃除の仕方や食器の洗い方などの家事でも、他人が違うやり方をするとイライラします。また、極端に節約している人も多く、十分な生活費があっても、ずっと低い生活水準で生活を続けるという特徴もあります。お金は将来の破局に備えて取っておくという考え方をします。


治療は自ら悩んでやってくる


強迫性人格障害は、その性格の為にいろいろなことが上手く回らないと患者さんが感じたときに治療がスタートしますが、あまりの完璧主義に治療者の方がほんろうされてしまうといったこともあります。主には精神医療で治療を行いますが、年を重ねていくごとに寛容になっていくという例もあります。薬物療法により治療なども行われています。強迫性人格障害の場合には、少しルーズかなと思うくらいでちょうどよいのかもしれません。あまりに完璧を目指すあまりに納期に遅れるということも周りの迷惑になるということなどが分かるように、相手の立場や気持ちが理解できるようにカウンセリングを進めていきます。

きっちりしていることは非常にいい部分もありますが、あまりに完璧を人にまで求めすぎてしまうのは自分も辛いですし、相手も辛いでしょう。どこか上手くいかないところがあれば、自分が完璧に何かをこなそうとこだわってしまっていないかということを考えることも必要になるでしょう。完璧主義なのはいいですが、度を超えてしまうと周りに迷惑がかかるので、そのことにまず本人が気づくことが必要になります。もし、大切な人が強迫性人格障害である場合には、まずそのことに気づいて、カウンセリングを受けることや、誰かに相談してみるなどして対策を取りましょう。もし、自分で悩んでいる場合は専門機関に相談することもいいでしょう。あまりに仕事人間である場合や余暇を楽しんで過ごすことができないという場合には、強迫性人格障害である可能性もあります。自分に思い当たることがあれば、専門家に相談してみましょう。

 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「克服への対策」


強迫性人格障害の克服のためにはどのような対策を取っていくのでしょうか。


柔軟に考えられるようにトレーニングを行う


強迫性人格障害の場合には、精神療法が中心になります。長所は残しつつも、少しずつ柔軟に考えられるようにしていきます。強迫性人格障害の治療では、症状によっては心身に起きている苦痛が大きい場合、薬を使って症状を緩和させることもあります。しかし、薬での対応は対症療法にすぎません。強迫性人格障害の場合には、根本にある性格や幼い頃から植え付けられた考え方などが原因で起きている場合が多いので、薬だけで解決することは困難です。極度になっている強迫的な物事の考え方にアプローチしていく精神医療を積み重ねていくことで症状の緩和をしていきます。心理的なアプローチには、長い時間と地道な積み重ねが必要になってきます。長年の性格や考え方のクセを変えるのは容易なことではありません。強迫性人格障害の場合は、周りとのトラブルなどにより、自身にも苦痛の自覚があるために、治療には積極的な場合が多いです。まずは、自分の性格傾向が極端であるということをしっかりと理解し認識することが大切になります。


長所である場合もあるので、それに柔軟性を持たせていく


完璧主義であることや倹約家であることは長所でもあるので、その性格を直すということはしなくても大丈夫です。ただ、それに柔軟性がないと、周りとのトラブルの原因にもなりますので、柔軟性を養えるようにカウンセリングなどを行っていきます。基本的な性格は長所にもなる部分ですので、性格を大きく変えるということではなく、周りとの摩擦が生まれない程度に、柔軟性のある考え方ができるように変えていきます。


強迫性人格障害の薬物療法


強迫性人格障害の場合には、毎日がストレスフルになっている場合も多いです。そのようなときには、心身を落ち着かせて問題と向き合うために、それらを緩和する薬を使います。治療でカウンセリングを受ける場合でもまずは、薬を使って困っている症状を落ち着ける場合もあります。不眠やうつ状態、強すぎる不安などがあると心に余裕が生まれずに、心に余裕がない状態では柔軟な考え方ができなくなってしまいますので、自分の内面と向き合うエネルギーが足りなくなってしまうことから、この方法がとられます。心身ともにリラックスした環境を作ることで、精神的な余裕も生まれてくることになり、強迫的な考え方にとらわれずに柔軟な考え方ができるようになります。


まずは、心身を落ち着けよう


まずは、薬を飲むことなどで心身を落ち着けた状態にしましょう。何か細かいことにこだわっているなと感じ、それがトラブルの原因になっている場合には、一度休んで、リラックスし、自分と向き合う時間を作れるようにしていくことも大切です。仕事に邁進して、完璧にこなすことはいいのですが、完璧を求めるあまりに、本来の目的を見失っていないか、周りとのトラブルの原因になってはいないかなどを考えてみましょう。仕事や家庭でも相手に任せて、相手のやり方を尊重することも大切になってきます。相手を信頼して任せることや、無理な要求はしないように注意することなどが必要になってきます。まずは、そのことに気づくことが大切ですので、心身共にリラックスさせる時間を作って、強迫的な行動に出ていないかを考えてみるといいでしょう。強迫性人格障害の方が持っている特性は、仕事の面などでは評価されることも多い部分です。その性格の良いところを伸ばし、頑固なところを少し改善していくというようなスタンスをとりましょう。ただ、自分の性格が極端であることを認知することが難しい場合があるので、そのあたりを専門医などに相談して修正していくといいでしょう。こうあるべきという考え方が強い場合には、こういうのもいいのではないか?という考え方ができる心の余裕を持てるように努力しましょう。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「関わり方」


強迫性人格障害の方にはどのように接していくといいのでしょうか。強迫性人格障害の方の治療には時間がかかるため、支える家族や接する周囲の方も大変なことも多いです。同じ強迫性パーソナリティ障害といっても状態は十人十色であることから、症状の程度や環境、年齢や性別などによって臨機応変に対応していく必要があります。


否定的な指摘を避ける


強迫性人格障害の方を見ていると、どうしてそんなことにこだわるのか、もっと効率的にできないのか、などとイライラしてしまうことがあるかもしれません。しかし、そのような状態を本人はどうすることもできずに苦しんでいる場合があります。完璧にこだわるあまりに仕事が完成しないこと、片付けができないこと、自分のやったことにいちいち文句を言われると腹が立つことがあるかもしれませんが、そこで否定的な言葉で相手の問題点を指摘してしまうことは、強迫性人格障害の方のこだわりをもっと強くする原因にもなります。ですので、基本的には、本人のやり方を見守るというスタンスで対応しましょう。アドバイスをするときには、穏やかな口調で、「こういう方法もあるよ?」「こうしてもらえると嬉しい」という感じで、相手を否定しないような言い回しをするといいでしょう。無理に相手に聞き入れてもらおうとするのではなく、自分の考えを淡々と話すという気持ちで接することで、不要なストレスはなくなるでしょう。


自己主張の際には、相手を批判しないようにしよう


強迫性人格障害の場合には、自分だけでなく、周囲の人にも制限をかかけるようなところがあります。お金の使い方や考え方、やり方や規則に反することへの批判など、あれこれ言われると、うるさいなぁと思うこともあるかもしれません。しかし、そのような過度な制限に関しては、患者さん本人の障害によるものと理解して、聞き流すようにするといいでしょう。ただ、その主張が自分自身のストレスになる場合には、相手を批判しないようにやんわりと自己主張しましょう。「あなたの価値観ややり方は尊重するけれど、私には私の価値観ややり方がある。」ということを冷静に穏やかに話すようにしましょう。喧嘩腰で感情的に話すのではなく、相手を批判しないで、理屈を述べると相手も納得してくれることが多いです。


自分のペースをしっかり守ること


強迫性人格障害の人の言動や治療の進行状況などが気になってしまうかもしれませんが、本人の問題と一線を引き、自分のペースをきちんと守るようにしましょう。理不尽な要求は聞き流すようにして、本人から話があった場合には、基本的には聞き役になりましょう。


話を先導しないこと


話し方が回りくどくなる傾向にある強迫性人格性障害の方は、話の末端の部分までを正確に伝えようとするために、話の大筋から外れてしまうことも多いです。そんな場合にはいったい何が言いたいのか、この話ではないのかと話を先導したくなることがあるかもしれませんが、話を先導すると余計に本人は混乱してしまい、ややこしくなってしまいます。ある程度は相手の言葉を待ちつつ、話の趣旨を伝えてもらうように持っていくと上手くいくことがあります。


相手の基本性格を尊重する


強迫性人格障害という名前がついていますが、基本的に真面目で硬い性格である場合が多いことが特徴です。周囲の人はその性格によって、息苦しさを感じることもあるかもしれませんが、その性格は個性でもあり、悪いものと決めつけるものではありません。的を得たことを言っている場合もありますので、相手を自分の性格に寄せようとするのではなく、お互いの個性を尊重し、一つの性格なのだなといったように相手を尊重してあげられるといいでしょう。


治療の効果を本人にせかさない


治療が始まると、どのくらい良くなっているのかと期待してしまうものですが、効果が出ないように感じると、もっと別の治療方法があるのではないかと焦ることもあるでしょう。強迫性人格障害の治療は、かなりの時間がかかるものになりますので、治療方針や病院の対応に疑問を感じる場合を除いて、一定の治療期間を経て効果が出てくることが多いです。周囲の方は焦らずに、患者さんをせかすことなく、マイペースで見守ってあげてください。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「相談のケース」


33歳の男性


33歳の男性は朝早くから出勤しまじめに仕事に取り組んでいますが、会社からの評価はあまり上がりません。資料を作成するときにはレイアウトや文章などを細かくチェックしますが、あまりに完璧なものを求めるために、提出日に間に合わずに、上司や同僚からクレームが出ることもあります。また、結婚をしましたが、掃除や洗濯の仕方や食事のこと、金銭的なことから交友関係まで厳密なルールを決めて結婚相手に守らせるように強要したために、離婚に至りました。あまりにいろいろなことが上手くいかずに困っていたので、カウンセリングにより治療を行い始めました。自分の思考の偏りを認識して、柔軟な考え方が出来るように、カウンセリングを行っていきました。


40代男性


会社で管理職につき、マネージメントの仕事を任されるようになりましたが、自分の仕事の仕方が正しいという自負があるために人のやった仕事が気に入らず、何度もやり直しをさせて、納期に間に合わないなどの弊害が出始めました。本人はどうして思った通りにやってくれないのだと感じていますが、周りの人は、もっと柔軟な対応をしてくれると有難いのにと考えていることも多かったようです。ミスを指摘するときも子細なミスにこだわって指摘してくることから部下たちは疲弊していました。そこで、強迫性パーソナリティ障害であるのではないかという結論に至り、少し休んでカウンセリングなどでリフレッシュを行うことにしました。本人も思い込みすぎて周りが見えなくなっていたことを自覚し、部下を信じてそれぞれのやり方で仕事に取り組めるようにと努力するようになりました。


30代男性


結婚をしましたが、相手のやることが気に入らず、厳密なルールを決めてそれを守るようにと言っていました。食事の内容や茶わんの洗い方、洗濯物のたたみ方ひとつも細かく指摘が入り、お金の管理も1円単位できちんと管理できているのかを毎日チェックするという徹底ぶりに奥さんは疲れてしまいました。男性は自分が強迫性パーソナリティ障害であるという自覚はなかったために、奥さんが相談に見えました。喧嘩になることも多くお互いに感情的になってしまっていたので、カウンセラーの方に間に入ってもらうことで、男性にも奥さんのやり方を尊重しつつ、相談してやっていきましょうといった感じでアドバイスを行っていきました。自分のやり方にこだわっていたという自覚があまりなかったので、治療までもっていくにも時間がかかりましたが、奥さんもこれは病気がさせていることなのだと考えられるようになり、聞き流しているようです。良い部分もあるため、トラブルの原因になる部分に少し柔軟性を持つようにアドバイスを行っていき、本人も少し、気持ちを変えて生活できるようになったということです。


40代男性


物を集めることがやめられず、家族には捨てるように言われるのですが、いつか使うだろうという気持ちがあり、ものがどんどん家に溜まっていました。すべては自分の管理下に置かれており、必要なものであるという認識があり、周りに迷惑をかけているということを認識できていない様子でした。捨ててもまたすぐに買い足すことや勝手なことをするとイライラして当たるといった行動も見られました。こだわりを持ってしまうことに家族も疲弊しており、治療を受けることになりました。物を集めることにこだわりをもっていたために、その部分を改善するべくカウンセリングを行っていき、使わないものは捨てるようにというルールを決めて、家族にも勝手に捨てたり、感情的にならないようにしてもらい、よく話し合って、物を減らすように努力していきました。治療を行っていくにしたがって、物への執着に改善が見られ、使わないものは捨てるといった整理整頓にも興味を持ってくれるようになりました。家族も本人のやる気を見て協力し、いらないものを捨てるようになりました。
 

 

 

強迫性パーソナリティ障害 「Q&A」



家族に対して、細かいことが気になってしまい、つい口を出してしまいます。

 

お互いに価値観が違う部分がありますので、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、相手には相手の方法があることを認識することが必要になります。もちろん、改善できる部分は改善するように伝えることは大切ですが、大きな目標を見失ってしまうことや、険悪な雰囲気になってしまうことは避けた方がいいです。相手がどんなことを考えて行動しているのか、自分のやり方を押し付けてはいないかなどを今一度考えてみるといいでしょう。相手に伝えるときは、こうしてもらえると有難い。といった感じで穏やかにお願いするといいのではないでしょうか。自分が一番正しいと思いこまずに、そんな方法もあるのだなというような対応をしていきましょう。

 
 


部下に資料を頼むと期日まで上がってこず、内容を聞くとすごく些細なことを気にしているのですが、どのように対応するとよいでしょうか?

 

些細な部分にこだわってしまい大きな目標を見失ってしまうことは強迫性人格障害の方にはよくある傾向です。頼むときには、大まかなことを伝えて、こだわっている部分はこの程度でいいというような指示を行うといいのではないでしょうか。期日が重要な場合には、とにかく期日までに出してほしいというお願いをして、仕事の様子などもできれば進捗状況などを確かめつつ、フォローしていくといいでしょう。どのようなことに悩んでいるのかもきちんと把握できると対応しやすくなるかもしれません。こだわってしまうのは、本人の性格もあると考えて、何を優先させるのかをきちんと伝えておくといいでしょう。

 
 


強迫性人格障害ではないかと悩んでいます。どうすればいいでしょうか?

 

強迫性人格障害は本人の性格によるものも大きいですので、まずはカウンセリングなどを行って、どういったときにイライラするか、不安を感じるか、などを考えてみるといいでしょう。強迫性人格障害の方の多くは自分がその障害を持っていることに気づいていない人も多く、周りの人が困って相談に来るケースなども多いです。ご自身で悩んでいると思われていることは改善の第一歩になりますので、カウンセリングなどを受けて、どういった点が気になるのか、どのように対応していくとよいのかなどのアドバイスを受けてみましょう。

 
 


夫が強迫性人格障害なのではないかと悩んでいます。自分の主張ばかりで意見を聞いてくれません。

 

基本的に真面目な性格の人が多い強迫性人格障害ですが、一緒にいるご家族の方はイライラしたり、落ち込んだりすることも多いかと思います。基本的にはそういう気質なのだと思っていただいて、口うるさい部分は聞き流せるといいのですが、相手と自分の線引きはきちんと行って、自分にも考え方ややり方があることを穏便に伝えるようにしましょう。理屈で説明すると聞いてくれることも多いのが、特徴になりますので、感情的にならずに、無理をしない程度に合わせていきましょう。あまりにひどい場合には、一度カウンセリングを進めてみることもいいかもしれません。ご主人は自分が一番正しいと思っていますので、その考えを改めるというのは、難しいポイントでもあります。本人のこだわりの強さを自覚してもらうためにも一度カウンセラーなどを挟んで話し合いを行うのもいいでしょう。

 
 


部屋の片づけをしたいのですが、完ぺきにこなせないため、片付きません。

 

細かい部分はいったん保留にして、目に見える範囲から片づけていくのはどうでしょうか?1年使っていないものは今後も使わないと考えて処分するのもいいでしょう。いつか使うからととってあるものなどは、使わない可能性も高くなります。部屋がきれいになることを目標にして、細かい部分には目をつぶって、とりあえず片づけることを試してみましょう。誰かお掃除するのを手伝ってもらうのもいいでしょう。周りの人がどんな風に片づけていくのかを参考にするのもいい方法です。