自己愛性パーソナリティ障害・自己愛性人格障害 名古屋

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自己愛性パーソナリティ障害・自己愛性人格障害

                       
自己愛性人格障害とは特   徴診断テスト
弊    害思考パターン原   因
認める大切さ対   策関 わ り 方
相談のケースQ & A

 

自己愛性パーソナリティ障害とは


自分本位な歪んだ自己愛を持つ者を言う


「自己愛性人格障害」とはその字の如く「自分自身を愛する人格」となります。本来、自分自身を愛することには何の問題も無いはずです。しかしその最後の語句に「障害」との文字が加わっている以上は看過できない問題が在りそうです。

通常であれば、自己を愛することは周辺の人たちと良好な関係を構築して行くことに繋がります。それにより安定した人間関係や環境を保つことが結果自分自身を愛する行為になります。ところが「自己愛性人格障害」の方は困ったことに自分の利益しか考えられません。その性質は自己顕示欲がとても強く傲慢であり、常に自分自身を人よりも優位に立ち、立場の弱い者に対し蔑み批判を繰り返す攻撃性を持つ、恐ろしい性質を持った人格者を「自己愛性人格障害」と分類します。

またモラルハラスメントを実行する者は、この自己愛性人格障害の傾向が必ず在ります。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「特徴」


自己愛性人格障害・自己愛性パーソナリティ障害の人は次のような特徴が確認できます。


強い自尊心を持ち自己中心的

誇示する傾向が強く常に評価を求める

支配的であり人を見下し差別的な面を持つ

人の意見には興味がなく耳を傾けない

自分の意向に添わなければ徹底的に相手を批判する

相手の人格をも否定することにより自分を誇示する

相手に服従を求め常にイエスの回答を望む

相手へ共感性を求めるが相手への共感性は持たない

非常に傲慢であり尚且つ攻撃性を持つ

逆らえば激昂するもしくは陰湿な報復がある

相手の利用価値が全ての原点となり搾取性が高い



自己愛性人格障害には以上のような特徴があり、その割合が高ければ完全にモラルハラスメント(モラハラ)を実行していると言えるでしょう。

それにしても誰しもこの自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)を持った人とは関わりたくはありませんし、そんな人がいたのであれば当然避けて通ります。しかしながら最初から「ある種の目的のある相手」に対しては勿論そんな態度は取りません。

職場や部活動やサークルなどの組織の中では、人数が多いために標的を決めかね最初からモラハラ振りを全開で表している人も中には見受けられるが、夫婦関係や恋人関係、親子関係や友人関係の殆んどの場合には標的となる者を定めます。ではその標的になる「ある種の目的のある人」とはどんな人のことを指すのでしょうか?その本質は非常に恐ろしいものであり、善良な人には思いもよらない目的の内容は「自己利益のために相手を利用する」に特化している点にあります。

最初のアプローチはとても魅力溢れる人柄としてあなたの前に登場します。あなたにとって今までの誰よりも親身になってくれ、あなたを補ってくれるとても心強い存在としてあなたの精神に定着して行きます。

それらが確定した頃に「自己愛性人格障害」特有のモラハラを全面に展開して行きます。このことについては、別頁の「自己愛性人格障害の被害に遭う人」や「自己愛性人格障害のアプローチ法」などに詳しく記述しておきましたのでそちらも併せてご覧下さい。

自己愛性人格障害を持つものには、同時にその家庭において伴侶や子供達に精神的DVや経済的DV、肉体的DVなどの「DV(ドメスティックバイオレンス」を併せて持っている場合が多くあり、職場ではパワーハラスメント(パワハラ)の傾向もモラハラと共に複合的に融合しているはずです。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「弊害」


自己愛性パーソナリティ障害・自己愛性人格障害の傾向があると思われる方は、極めて自己中心的であり、ナルシストな方がとても多く、夫婦関係・家族関係・職場においても人間関係が良好には築けません。
 

自己愛性パーソナリティ障害の特徴としては、さしたる根拠もなく自分は「特別」で「優れている」と思い込み、他人から自分への過剰な賞賛を求め、時には他人に対して嫉妬したり、怒りの感情を現します。
 

そして相手に対しての共感性には著しく欠け、他人より常に優位に立とうとして、傲慢かつ無礼な態度を示します。
その陰には、自分自身への非難や批判に対し非常に敏感で、失敗を深く恐れ、自身の劣等コンプレックスを隠すために常に自分を大きく見せる傾向があります。

 

思い通りに事が運ばず、その結果に落胆し絶望した時などには、理想化できる他者を一時的に求めます。しかし、基本的なところで他人が自分に近づくことを許さず、深い人間関係などは元より望んでいないことから、自ずから付き合いは浅くなってしまいます。
 

もちろん周りの人達は、自己愛性人格障害・自己愛性パーソナリティ障害過剰な要求や現実離れした考えを偏った要求を満たすことはできず、不本意な結果に対し相手や周囲に怒りを示し、相手を批判、否定し、拒否を強めます。そのため、夫婦関係・親子関係・職場での人間関係はギクシャクし、孤立した状態に陥ることとなります。
 

また、夫婦関係や恋人関係の場合には、出会った当初の付き合いの中では、とても気さくで思いやりがあり、主体性ある考えを示し頼れる存在のように思えた相手が、肉体関係などの密接な関係持った時点や、結婚などの法的な関係が確定し新婚生活が始まってしまえば、以前とは打って変わり本性を現したかの如く強烈に自己愛性パーソナリティ障害の症状を強く打ち出し、主従関係を自分勝手に設定し恋人や伴侶に対し自分のルールに従わせようとして来ます。
 

以上をまとめると、次のような特徴が当てはまります。
 

強い自己顕示欲

傲慢であり攻撃性が強い

支配的であり人を上か下かの尺度で測る

激しい嫉妬心を秘めている

聴く耳持たず自己の主張ばかり

相手への共感性の欠如

些細なことで激昂する

相手を強く批判・否定する

非常に搾取的であり相手を利用する



一見自信があり、揺るぎない考えをもっている人のように思えますが、根本は自身の劣等コンプレックスを相手に悟られないように、見透かされないように、周囲に対して傲慢な態度を示し、自分を大きくみせるように虚勢を張る傾向が自己愛性パーソナリティ障害の方には見られます。
 

自己中心的な態度や考えは、周囲の人からの理解が得られるはずも無く、家庭生活・社会生活をしていく上で当然「弊害」となり、結果、格下扱いの同僚や部下に足元をすくわれ、伴侶からも三行半を突きつけられ「裸の王様」の末路を辿ることは必然となります。
 

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「思考パターン」


自己愛性パーソナリティ障害には、大きく分けて3つのパターンがあります。

 
自己の重要性に関する過大・尊大・誇大な感覚


自分は「特別」であり「優れている」と、さほどの根拠もなく盲目的に思い込んでいます。現実で成功していないにもかかわらず、常に自分のことを過大に評価します。
 

「まだ本気を出していないだけ」
 

「本当は優れた才能があるけど、まだ発揮できていないだけ」
 

「周りの人が、私の美しさに気づいていないだけ」
 

上記のように成功や才気、美しさへの囚われから、このような考えをもっています。
 

学生の中でも、不登校でありゲームばかりし、学校や予備校に行けない理由を親やクラスメイトのせいにし、全く勉強しないにもかかわらず「医学部を受験する」「医者になる」と言って譲らず周囲を困惑させる者も私どものカウンセリングでは年間を通じて数名見掛けます。
 
 

 
過剰な賞賛の追求


自分が「特別」であるという感覚から、周囲に絶えることのない注目の要求と過剰な賞賛を常に求めて来ます。
 

「地元ではトップの進学校に行ってたんだ」
 

「今はこんな仕事をしているけど、将来はビッグな仕事をすることになる」
 

「この事業を成功させたのは私の人徳があり周囲をまとめ上げた結果だ」
 

自分に対する無償の特別扱いが当たり前の権利のように相手に期待し「自分は特別」の印象を周囲に知らしめ確立しようとします。
 

自分を大きく見せるために虚勢を張り、傲慢で自己中心的な態度や言動も日常的に現れます。
 

さしたる実力も実績もなく言葉だけで「大物ぶる」厄介な者もいれば、実際に努力をし実績も作りはしますが、尊大な態度で相手に殊更「特別な人」の認証を要求すればそれもまた滑稽です。
 
 

 
他者への嫉妬や怒り


周囲に賞賛を求めても思い通りの反応が得られないとなれば、それは相手への怒りを持ち、また自分よりも優れた評価を受けている人物に嫉妬を持ち、その相手への妬み嫉みを覚え、直接もしくは陰で罵りなどの執拗な攻撃的症状がみられます。
 

「なぜ自分を認めてくれないんだ!」
 

「くだらない人間やつまらない仕事ばかりさせて!」
 

攻撃性が強く、聴く耳を持たず自己主張ばかりします。支配的で共感性に乏しいため、周りとのトラブルや孤立が頻繁に起こります。
 

また、自身のストレスを解消したり、自分の存在を分からせるために、ターゲットを作りその人を利用します。はじめは頼りがいのある素敵な人柄でターゲットに接してきますが、友達から親友へ、恋人から夫婦へ関係が密接になり、相手から信頼されていると確信を得たタイミングで、徐々にもしくは一気に、自己愛性パーソナリティ障害特有の態度や言動で本性を現してきます。
 

「自己愛性人格障害の弊害」でお話しした通り、自身の劣等コンプレックスを隠すために、自分を過大に評価し、尊大な態度で、自分自身の「特別性」を周囲に認めさせ、優位に立とうと試みます。しかし、現実は自分の理想像が高く、もしくは大き過ぎ、自尊心が傷付くのを恐れ、結果何もチャレンジ出来ていない状況になっていることも少なくありません。
 

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「原因」


自己愛性パーソナリティ障害・自己愛性人格障害の原因は、遺伝子レベル、脳における疾患、生まれ育った環境などが挙げられていますが、いまだにはっきりと解明されていないとは言われています。しかし、実際に私が自己愛性パーソナリティ障害を持つ者やその被害に遭われた方々と向き合って来た経験から判断すれば圧倒的に「生まれ育った環境」が原因の」大半を占めていると言ってもよいと考えています。
 

自己愛性パーソナリティ障害には主に2つの要因が考えられます。1つ目は、生まれながら持ち合わせている多少の個体差による気質にプラスして、更に育った環境が悪影響を及ぼし自己愛性パーソナリティ障害の人格が形成されていくもの。
 

そして2つ目は、親の特異な偏った性質による子への負の伝承など、育った家庭環境の中での思想教育の歪みが本人への悪影響を及ぼし自己愛性パーソナリティ障害が形成されたと考えられます。
 

例えば幼い子どもが親に、自分がうまくやり遂げたことについての話をしたくてウズウズしながら学校から帰宅したとします。本来なら子どもの「出来た!」「いっぱい褒めてほしい!」を親が受け止め、共感することで自己愛の形成へと繋がります。
 

しかし、親はそれを喜んで聴くのではなく、それどころか子どもの話をそらして、逆に親自身の自慢話を始めてしまうなど、全くそのように子への共感の態度を親が示さなければ「自己愛」が育つ訳がありません。せっかく子どもがやり遂げたことの意味が極端に薄れてしまいガッカリとしてしまったということです。
 

自己愛が未成熟のまま成長すれば、親だけでなく他人からの賞賛や際限ない愛を追求し自己愛を満たそうとしますが、そのような考えで自己愛が成熟することは無く、自己の持つ理想と現実のギャップが益々大きくなり、結果さまざまな悪影響という弊害が出てきてしまうのです。
 

また、親から特別な子ども扱いで褒められながら親の用意されたレールを進み、過保護に育てられたとしても「自己愛」は正しく育たず、未成熟のまま成長することは必然です。以上のことから、育った家庭環境、親と子の関わりが大きく関係しているのは明らかです。
 

また、「自己愛性パーソナリティ障害」と「境界性パーソナリティ障害」の症状には幾つか共通点があります。自己中心的で対人関係の問題から情緒不安定をまねくこと、その原因が自己愛の未成熟であることなどその他にも多数の共通の項があります。
 

自己愛性人格障害は、理想と現実のギャップを受け止められず、自己防衛のために誇大化した虚構的言動を絶えず繰り返し、いかにも自信があるように自身を振る舞うという点では、境界性人格障害との違いがあります。
 

いずれにせよ自己愛性パーソナリティ障害は、「自己愛の未成熟が原因」で、これまで挙げてきた人格的障害が現れてしまうことが大きいと考えます。
 

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「認める大切さ」


自己愛性パーソナリティ障害を持つ本人が自ら思い悩み、その性質を改善しようと行動することはまずありません。全部自分が正しく特別なのですから、当然本人には全く問題意識がないため自分自身の行動や発言や態度の偏りに気付くことはありません。
 

本来であれば、家族や職場の周囲の人達に対し、侮辱や蔑視し続けるその性格的問題に、自ら悔やみ反省し自己愛性パーソナリティ障害という現実を認め、そして改善に向けて努力をしなければならないのですが、自己愛性パーソナリティ障害の気性を長い期間を掛けて当たり前の環境の中で過ごして来たのですから、自ら気付くことは無く、家族や職場などの周囲から総スカンのように疎外されたり、大きな過ちなどを犯したりなどの相当に辛い思いをしなければ自主的に改善に向けて動くことは無いでしょう。
 

自己愛性パーソナリティ障害の方は、ナルシストで自己中心的な言動を終始し、それが度を越して周囲に不和をもたらしている場合が多くあります。本人が無自覚のまま周りからはモラルハラスメントいわゆる「モラハラ」として捉えられることもあります。
 

モラルハラスメントとは、相手を批判・否定・非難を繰り返し、相手の自信や尊厳、意欲などを奪ってしまう行為をいいます。そのモラハラの被害を受けた方々が「あなたの考えは理不尽で納得がいかない」などと言おうものならとんでも無く恨まれるので誰も苦言を呈することが出来ず、結果「改善」からは益々遠のくばかりです。
 

自己愛性パーソナリティ障害の特徴である「自身の誇大な感覚」や「他者からの賞賛の追求」は、少なからず誰もが持っていそうなことではあるものの、そのことが原因で学校生活・社会・家庭環境等に負の影響を与えているのであれば、いつまでも「本人の気付き」を待っている訳にはいきません。
 

ではどうすれば良いのでしょうか。それには当の本人が非常に困るような状況を作り出し本人に直接その人格的問題を告げることです。いわゆる土俵の上に乗せることをしなければなりません。それを実行しなければ伴侶・家族・職場は自己愛性パーソナリティ障害を持つ者からの精神的被害や物理的被害を長期に渡り受け続けることになります。
 

勇気が必要ですが、本人に気付かせることは改善への大きな第一歩ですし、自分を守るためでもあるのです。
 

「もしかしたら自分も自己愛性パーソナリティ障害の傾向があるかもしれない」
 

「ウチの職場の上司に随分と当てはまることが多いな」
 

「私をいつも小馬鹿にし低く扱い嫌なことばかり言う夫に該当することが多い」
 

周囲の方々に指摘されこれを読んでいる方がもしおられるのであれば、全てを失う前に、積極的に自己愛性パーソナリティ障害であることを認めるとともに、専門のカウンセラーに相談し、改善の道を探し求めましょう。
 

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「克服への対策」


この自己愛性パーソナリティ障害の「克服への対策」ほど、頭を悩ませ、文面が進まない項目も珍しく、思い悩みながらの作業となります。
 

何故ならば、自分の価値観以外を認めようとする姿勢が皆無に等しい思考を持つ人格障害だからです。常に自分が中心で自分は優秀であり絶対であるのですから、よもや自分の人格に障害があるとは絶対に認めないからです。
 
 

自己愛性人格障害の夫と妻との「関係と末路」


よくあるパターンとしては、夫と妻との関係です。結婚するまでは非常によく気がつき相手を思いやり頼もしい人として交際していますが、結婚し妻として自分の手の内に入ればその自己愛性人格障害・自己愛性パーソナリティ障害の頭角を現してきます。
 

対等なパートナーとは程遠く、妻とは主従関係として夫婦関係を構築します。例えば、金銭面では妻よりも、働いている自分が稼いだものとして自分が優位に立ち妻には金銭的余裕を与えません。そして妻には自分よりも低い者と扱い、可愛がることはありません。古い価値観の男尊女卑の思想も両親より学んでいますし、疑問すら感じることもありません。
 

その自己愛性人格障害を持つ夫は、会社や世間では自分は大いに認められてると妻や家族への「自分はとても人望も厚く、自分がいなければ会社は成り立たない」などの口だけで尊大な自分のアピールも忘れません。「だからお前たちは俺を敬い大切に扱い、自分の言うことは全て正しいのだから言うことを聞き入れ、そのようにしろ」基本はこんな感じです。
 

とにかく、自分が中心で家族は自己愛性パーソナリティ障害を持つ夫が「主役」であり、妻も子供達も「脇役」という配役の歪な家族の形態となります。全てでは無いが、「旧家族」である親や親類などに対しては良い子に振る舞い親孝行であったりしますが、それには妻や子供達の「現在の家族」を踏み台にした上での親孝行であり、妻にも自分の親を敬い大事にしろと言うような方も存在します。
 

その妻は「子供のために」と我慢し続けますが、流石にこんな夫を持てばいい加減嫌気がさし別居や離婚を考え続けその時期を虎視眈々と狙います。子供の成長に目鼻立ちがついた頃、または定職を見つけ自活の道が確定した頃、その時がやって来ます。
 

「もうあなたとは一緒に住めません、別居します」「離婚調停で資産の分割、子供への養育費の協議をします」この時に夫は初めて慌てふためきます。自己愛性人格障害の夫は、自分よりも立場の低い妻が反乱を起こしたことに驚き必死にそれを阻止しようと良い言葉を並べ立て、さも「自分は変わる」と懇願します。
 

そこで許して仕舞えば、また時間さえ経てば元の木阿弥が殆どです。それどころか自分を裏切った妻に対して自己愛性人格障害を持つ夫の性質を考えれば、その怒りは生涯忘れず更に決して逃げられない、裏切ることが出来ない主従関係を企むことは必須として肝に命じた方が身のためです。
 

この夫には「人を慈しみ」「人を愛する」心は持ち合わせてはいません。自分のことだけ愛する人です。自分の利益が全てですので、目の前の不利な事態は、結婚前の恋愛時代のように、非常に気がつき、思いやる気持ちを持ち頼もしい人として一時凌ぎの変化を見せますが、残念ながら「自己愛性パーソナリティ障害」の特性である「自分だけが優秀で絶対的な存在」は直ぐに復活するでしょう。
 
 

克服への対策と結論


克服への対策との表題への回答としては、私の経験上、克服への対策は限りなくゼロに近く、対策は無きに等しいとの結論です。
 

身近な方々は「距離を置きましょう」これが一番です。
 

私どものセラピーに「自己愛性人格障害を持つ本人」がこの問題を相談に来た方は殆どいません。来られる方は、この自己愛性人格障害を持つ人への対応策と、傷付きトラウマ化した心の修復や、依存性が強く自立出来ない方にタフな心を持ち、良くない人への依存を断ち切る性格改善を主におこなっております。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「関わり方」


自己愛性パーソナリティ障害の方を持つ家族、職場、友人は、果たしてどのように接し、関わっていけば良いのでしょうか?
 

自己愛性パーソナリティ障害の方は、自分が人よりも優位であろうとするため、その言動や行動に巻き込まれないように、「距離を保つ」ことが重要です。
 

また、本人は自己愛性パーソナリティ障害であると気づいていないことが多いため、周りの方の自己愛性パーソナリティ障害の正しい知識と理解に基づいた「毅然とした態度」が大切になってきます。
 

以下、2つの関わり方をお話しします。
 
 

距離を保つ


自己愛性パーソナリティ障害の症状である、自分が「特別」で「優れている」と周囲に認めさせるような言動や態度、常に自分にスポットライトが当たっているように注目をされたいが為の立ち振る舞いなどに影響されないよう、ある程度の距離を保つようにしましょう。
 

家族、職場、友人に自己愛性パーソナリティ障害の傾向を持つ方がいるときには、自分自身がそれに巻き込まれて精神的ダメージを受けないようにすることが大切です。
 

「あの人は自己愛性パーソナリティ障害なので救わなければ」
 

「病気であるならば、なんとか治ってほしい」
 

「私だけでも伴侶の良き理解者になってあげたい」
 

原因が分かり、同情し、何とかしてあげたいと思われた方も見えるかも知れません。しかし、こちらから積極的に相手の問題を指摘すれば、本人を刺激し、攻撃的な言動や態度を示し、事態が余計に混乱する恐れがあります。一人で抱え込まず、周囲の人と協力する体制をとってください。
 

もしも、そこから離れられる環境にあるのなら、完全に距離を置いてしまっても良いでしょう。自己愛性パーソナリティ障害の人との近い距離での関係は、周囲の人がそのモラハラぶりに参ってしまうことが多く、非常に難しいのが現状です。本人を刺激しないようにそっと距離を置くことも、大切な手段のひとつです。
 

それができない状況であるならば、付かず離れず距離を保ちながら、適当に受け流していくことです。本人を変えようとするより、自分自身が上手く立ち回れる方法を見つけましょう。
 
 

相手の言動に動揺しない


自己愛性パーソナリティ障害の方が、家族、職場、友人の人格を否定するような発言をしたとしても、それは彼ら自身の「心の問題」から発していることで、実際の周囲の人には何ら批判されるべき落ち度も問題もありません。
 

下手にオドオドした態度を見せれば、かえって相手の攻撃欲を余計に刺激し、威力を増して攻撃してくる可能性が非常にあります。反対にこちらが威圧的になれば、さらなる逆ギレ的反発を買う恐れがあります。 自己愛性パーソナリティ障害の方の発言や感情に振り回されることなく、冷静に対応することが、何より自分自身を守っていくことにつながります。
 

周囲に自己愛性パーソナリティ障害の方がいて、生活や職場などで避けることができず、その言動にお手上げ状態になってしまった時には、少し相手の心情を考えてみてください。本人は無自覚のまま、どうにもならない孤立の中にいて、相手を攻撃することで自分を保持しようとしているだけです。そう思えば、「哀れな人だこと」とその言動を受け流すことも少しはしやすくなるかも知れません。
 

間違っても人格障害を持つ者に同情心などを見せるとかえって逆効果ですし、相手が気の毒だからと無理な要求に従う必要は一切ありません。自分が心から相手の良き理解者になり支えたいとの思いを持っても、残念ながらそれはなかなか相手には届きません。
 

ただ、その障害の性質を熟知し理解をすることで、あなた自身が相手の言動に振り回されにくくなること、不必要な摩擦を避けること、冷静な対処がしやすくなることを目的としてください。
 

周囲が自己愛性パーソナリティ障害の特徴を正しく理解し、相手に巻き込まれないように心掛けること。
 

自分の手に負えないと感じたときは、冷静に距離を置く選択も視野に入れること。
 

相手を変えようとするのではなく、自分自身がどう付き合うか手段を考えること。
 

結果それが、本人に問題を自覚させ、「このままでは皆が離れていく、変わらなければ、なんとかしなければ」という気持ちを引きだす可能性につながっていくのではないかと考えます。
 

しかし現実は厳しく改善する可能性はかなり低いと考えた方が無難なのが現実です。取り組んだとしても直ぐに改善するものではありませんし時間は掛かります。
 

本人を何んとかしようとするよりも、その自己愛性パーソナリティ障害の被害に遭われて伴侶・恋人・職場の方々の心の持ち方や考え方への取り組みを奨励したいと考えます。そして人格障害を持つ者へのしっかりとした対処法を身につけ、幸せな生き方や環境を作ることができるように、取り組んでいきましょう。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「相談のケース」


夫婦カウンセリングのご希望で、まず奥様が先にご相談に来られました。奥様のお話では数週間前から夫とは別居中で実家に子供を連れて帰っている。そして奥様は暫く別居生活を続ける中で夫と今後、夫婦としてやっていけるか判断したいとの考えでした。
 

別居の理由は結婚当時より「明らかな男尊女卑」であり、「自分が絶対」であり、家庭や家族のことは何の相談もすることなく夫の「一存で全てをを決定」してしまい、口を挟もうなら「烈火の如く罵声」を浴びせて来る。
 

食卓では、「奥様も子供達も萎縮」してしまい、常に「私たちへの苦言」と自分は如何に会社で重要な人物で皆んなに尊敬されている、などの自慢話を聞かされる。夫の帰りが遅い時だけ、奥様と子供達は支配から解放されて美味しく食事が摂れるという事でした。
 

また金銭的にも、「夫は小遣いが自由」に無限であり、「奥様には金銭的自由は無い」常に家族を「下に扱い盲目的な従順を求める」以前に離婚を切り出したこともあるが弁の立つ夫に言いくるめられてしまい、結局は奥様が「子供のために我慢」して謝罪したと言います。
 

夫の仕事のためには家族は我慢しろ。出産後は夜泣きがうるさいと叱られ、ことある度に奥様の実家の両親の教育が悪いからお前はこんなことしか出来ないんだ、と言われ続けていました。結婚このかた、旅行も一度も行ったことも無いようです。
 

こんな夫も出会った当初は、優しく良く気がつき、いつも親身になってくれてたそうです。結婚するや否や態度は一変し、現在に至っているようです。子供達もある程度成長したので、思い切って今回の別居に至ったようです。
 

奥様には私どものカウンセリングに通って頂き、徐々に恐怖や怯えを緩和しつつ、夫の性質への正しい理解に努めると共に、奥様の長い間に培われた夫からのマインドコントロール的な劣等コンプレックスを取り除き、自己肯定感を高めた上で夫との夫婦カウンセリングに入りました。
 

夫は奥様に出ていかれたことにより、家事も出来ない夫は自分自身も実家に戻り両親の世話になっている状況でした。夫は現在の生活が不都合であったためか、妻には低姿勢で今後は理解するということでしたが、自己愛性人格障害の傾向を持つ夫がそうは簡単に変われるはずも無く、夫婦での約束事を成立させる段階でようやく持ち前の性質が現れ、「自分は全て正しく、それに従わない妻に問題がある」という態度がやはり露呈して来ました。
 

束の間の夫婦カウンセリングに奥様も夫の変化を期待するも見事にそれは崩されました。しかし、夫婦カウンセリングの前の奥様とのカウンセリング中で、自己愛性人格障害の傾向が強いご主人とは、「当初は分かったような態度で来るが、負荷が掛かればその本性は現れる」と可能性を事前に説明しておいた経緯もあり、奥様も想定内でしたのでこれを機に離婚調停に場を移し、現在は離婚が成立し、母子家庭ではありますが、とても安心出来、笑い声にも気を遣う事のない平穏な家庭を持つことが出来ました。
 

余談ですが、そのご主人は離婚調停でも傍若無人の態度で大荒れであったそうです。

 

 

自己愛性パーソナリティ障害 「Q&A」



夫の義父母が何かと私たち家族に干渉をして来ます。
共働きなのでどうしても子供を義父母に預けなければなりません。特に義母のパワハラ・モラハラぶりは常軌を逸しており怖くて緊張と不安の連続です。夫は幼い頃より両親を恐れており、親の前では何も言い返すことが出来ません。私たちはこの義父母にどう対応したら良いのでしょうか?

 

それ程までに怖く何も言い返すことも出来ない義父母に自分の子供を預けるという事は、厳しい言い方かも知れませんが、子供の保護者の役割を放棄しているのも同然と言えるのではないでしょうか。自己愛性人格障害の傾向を持つ義父母の影響下からまず離れて下さい。それには生活環境を変えることです。夫は子供の頃より親の強過ぎるエゴの教育を施されきっと自立した精神を持てず、依存性があることが考えられます。「親が嫌だけど、親が悪いと思うけど」その現状を変える勇気が無いと思われます。しかし夫婦でよく話し合われ自分の子供が大切であると思われるのであれば義父母に預けることはしないで下さい。夫婦で子を守るために熟考協議すれば必ず道はあるはずです。

 
 


上司が高圧的で私の全てを批判して来ます。毎日人前でも怒鳴られ批判され私の人格までも否定され辛い毎日が続いています。会社を辞めることを常に考えますが、家族の生活のことを思えばそれもままなりません。最近では自信も無くなり自分が無価値に思えて来ました。心療内科へ行き精神薬も処方して服用する日々です。この上司を怒らせないようにどうしたら良いのか、そして今後どのように心の平穏を保てば良いのか心の持ちようを教えて下さい。

 

この上司は自己愛性人格障害の傾向があります。結論を先に申し上げれば対応策はありません。「そんなことをいちいち気にしない、気にしない」と言われる方もおられるとは思いますが、その方はその上司から自分が直接ヤリ玉に上がっていないからそう言えるだけであり、その上司の矛先がその人に向けば、その人は「気にしない、気にしない」と呑気なことは言えないと思います。この場合にはそのモラハラ・パワハラ上司のそのまた上司、もしくは人事課の担当者などの方々に現在の窮状を訴えて下さい。配置変更なり営業所を変更して頂ければ儲けものです。それでも聞き入れて貰えずなんら対応して貰えなければ会社を辞めていただくことも考えたほうがよいでしょう。そんな上司からは離れるべきです。「しかし、家族のために…」その発想自体が家族のためになっているとは思えません。職場から帰宅した時のあなたの表情はどうですか?元気で笑顔で快活に家族の元に帰れていますか?家族はあなたが元気であることを望んでいます。あなたの現状を妻や子供が凄く心配し、世帯主の体調や精神に不安を感じているはずです。今の時代はキャリアを欲しがる企業も多くあります。転職で有意義に働ける環境を自ら求めることも選択肢のひとつです。