不安障害 名古屋

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不安障害

                 
不安障害について種類と特徴診断テスト
弊   害ケ ー ス原   因
対   策

 

不安障害について


不安障害では、日々の出来事や活動に対して過剰な不安や心配をしていることが大きな特徴です。仕事上の責任を果たし業務を遂行すること、健康のことや家計管理、いじめや失業などが、有るのか無いのか、気になることは人により異なるが、毎日のように気を揉み不安がり心配している状態から抜け出せない状態です。


 
 

年代によって移り変わる不安障害


心配する内容は年代により異なります。子供や若年層は学校の成績やスポーツの結果などを心配することが多く、また年を重ねてくると、家族の心配や健康上の心配をする場合も多く出てきます。心配の対象が他に移っていく場合もあります。 この心配が過剰になることで、仕事や家庭などに支障をきたす場合も出てきます。心配し過ぎていることに本人も気づいているのですが、自分自身でその不安感をコントロールすることが難しくなっている状態です。
 

一旦この不安障害に陥ってしまえば精神的なものだけではなく、身体にも不調が出る場合があります。絶えずイライラし、震えや筋肉の緊張が起きる場合も珍しくありません。また、目眩や動悸、頭痛や発汗などの自律神経が乱れたような症状が起きるのも特徴です。心配していることが体調不良に陥っていると気づかないケースもあり、カウンセリングなど過去の整理整頓を行なった上で、認知行動療法なども用いて良くなっていくことも多いです。


 
 

不安を感じることは、一種の大事なアラームでもある


日常的に生活しているうえで、不安になることは誰にでもあることです。入学や就職、転職などで新しい環境に入っていくときには誰でも緊張します。初めていく場所などにも、そこが安全な場所であるかが気になります。不安を感じることで、体も心も緊張します。しかし、この不安を感じることは、自分の身を守るための必要な心のアラームでもあります。
 

不安を感じるからこそ綿密な計画なり、出来る範囲の下準備することや、緊張することで他のことに気を取られること無く緊張の対象に対し集中できる場合もあるでしょう。人間が生きていくにおいて、ほどほどの不安感を感じることはとても大切なことです。しかし、周りのあらゆることが手につかないほど不安を感じてしまうのは、毎日の生活に支障をきたすようになるので看過出来ません。


 
 

頭の中に増大した不安で身動きが取れなくなる


人からどう見られているか分からないから、人から何か言われるかもしれないから、職場や学校に行けない。家を留守にすると泥棒に入られるかもしれないから外に出かけられない。事故が心配なので電車や飛行機に乗るのが怖い。など行き過ぎた不安を感じるようになることを不安障害と呼びます。
 

その時に感じる恐怖や不安というのは、現実に存在しているものではなく、頭の中に存在しているものとも言えるのですが、それを放置すれば心配が尽きなくなり全く行動を起こせなくなってしまいます。現実を落ち着いてみて見ると、そこまで大変な状況になっていない場合でも、そのことが気になってしまい、不安が増幅していくことで、心身共に弱ってしまいます。病は気からといいますが、気持ちが落ち込むことで、身体にも症状が出始めます。


 
 

不安障害の原因


不安障害の原因は、性格的に人見知りであったり、内気であったり、はにかみ屋さん・引っ込み思案であることや、否定的な感情や石橋を渡り危険回避ということが関連しています。社会で、心配になるようなことが多かったりすると、自分もそうなるのではないかと不安になることや自分の中の否定的な感情により支配されることもあります。また、子供の頃の逆境や親の過保護なども、不安症と関連するというケースもあります。親が心配性すぎることで子供にもそれが伝染し、不安に感じることもあります。常に大丈夫なの?と言われているような場合が挙げられます。不安症にかかる場合には、1/3は遺伝的な要素を持っていますが、神経症的な症状やうつ病などの症状とも似た症状が出てきます。自分の中の認知のゆがみを改善して、不安を減らしていくことが主な治療方法になります。治療を続けて、不安が解消されれば、穏やかな生活を過ごすことができるようになります。自分の中に沸き起こる不安感を和らげていくような行動をとることで、次第に良くなっていきます。

 

 

不安障害 「種類と特徴」


不安障害にはいくつかの種類や特徴があります。主な不安障害には「適応障害・社会不安障害・パニック障害・強迫障害」などがあり、いづれの不安障害の場合にも適切な対応を講じることで良くなっていく場合が多い障害です。それぞれ主だったものを紹介しましょう。


 
 

適応障害


適応障害では、ある状況や出来事が通常であれば何でもないことなのですが、抵抗障害を発症している本人にとっては非常に緊張することであり、酷く不安に感じるものです。そのために、精神不安や抑うつ感などの精神的な症状や、倦怠感や目眩などの身体的な症状が起こり、行動面に至っても症状が現れてくる心の病です。また、社会生活の面でも、適応障害により学校や会社を無断欠席したり、そのストレスから無謀な運転をしたり、不安が増幅し過ぎ喧嘩することや物を壊すことなどの衝動的な暴力的問題行動を起こす場合もあります。
 

うつ病と同じような症状を見せますが、ストレスになる事柄が少なくなる状況や問題を取り除くことで良くなっていくケースも多数あります。一方で、ストレスの原因から離れられない場合やストレスの原因になるものを取り除けない場合には、症状が慢性化することがあります。治療に当たっては、薬物療法も一時的には良いのでしょうが、本人の適応能力を高めていくためのカウンセリングと心理療法を用いることが効果的です。また、環境を改善していくための行動を同時に行われることが必要です。


 
 

社会不安障害


誰しも人前で何か発表する場合など多少なりとも恥ずかしいと感じるものです。社会不安障害に該当する場合には、その発表をする随分前から、失敗して他人に馬鹿にされるのではないか、上手く発表できなかったらどうしよう。と毎日常時プレッシャーや不安を感じてしまいそのことが不安で頭から離れません。特に他人から評価を受ける場面や人目を集める場合に、その状況に苦痛を感じるようになり、そういった場面を極力避けてしまうようになり、日常生活に支障をきたす障害です。
 

社会不安障害は思春期前から成人早期にかけて発症することが多く、脅かすわけではありませんが、放置しておけば次第に人前に出ることを極度に恐れるようになり慢性的になれば恐怖が常態となり、自分は何もできないといった自己否定・自己嫌悪の感情に陥り、うつ病などの精神疾患につながっていく可能性を秘めています。
 

性格が恥ずかしがり屋だとか、完璧主義だというレベルの問題ではなく生活面や社会生活で支障が出るようであればそれは看過出来ない問題になるため、早期の問題解決をしなければなりません。認知行動療法などの精神療法やクリニックでの薬物療法で良くなっていくケースもあります。家族に馬鹿にされたなどの経験も社会不安障害につながっていく場合があります。


 
 

パニック障害


何かさほどの理由があるわけでもないのに、突然の動悸や目眩、息苦しさや呼吸困難、発汗や手足の震えなどの発作を起こし、いつそれが起こるのかと恐怖や怯えの予期不安のために生活に支障が出ている状態をパニック障害と言います。この時に起こるパニック発作は、死ぬかもしれないと思う程、強いものであり、自分ではとてもコントロール出来ないと感じます。その時と同様な場面、類似するシュチエーションでは、またパニック障害の発作が起こるかもしれないと感じることが増え、発作が起きやすい場所を極端に避けるようになります。
 

その人によって危険な場面があり、電車の中であったりエレベーターなどの閉ざされた空間では逃げられないと感じることで、外出できなくなるケースがとても多く、狭いところや暗いところなどに行くとパニック障害の身体的死の恐怖的な症状が現れるケースもあります。パニック障害では、曝露療法という改善の方法があり、少しずつストレスに慣れていく心理療法が特に有効です。無理をせずに、少しずつ、自分のペースを考えつつ、ストレスに向き合います。周囲もゆっくりと見守ることが大切です。


 
 

強迫性障害


強迫性障害では、強迫観念と強迫行為が特徴的です。強迫観念はなにか不安な感情や考えが頭に浮かんできて離れない状態になります。それは現実的なことではなく無意味なことである場合も多いです。
 

強迫行為は、強迫観念にともなって高まる不安を打ち消そうと行われる行為です。自分でも、やり過ぎたとか、ばかばかしいと感じていることで自分では止めたいと思いつつも行ってしまう場合があります。トイレに入った時には、トイレに入るたびに汚れていると、その不安から執拗に手を洗い続けることや、泥棒や火事の心配をして、外出前のカギやガスの元栓の確認を長時間に渡り行うなどの行動をとります。
 

強迫性障害の改善には認知行動療法が有効です。心理面の基本な学習を通じクライアントへの強迫性障害を改善する上での動機付けなどを高めていき、偏った認知を正しい認知への誘導に導くことにより、心穏やかな精神を身に付けることが重要となります。

 

 

不安障害 「弊害」


不安障害に陥れば、日々の生活にも不安や緊張が常時強いられるようになり、毎日がその不安障害のことに心が囚われてしまい、楽しく過ごせなくなってしまいます。本人しかそのつらさが解らない不安障害には、どのような弊害があるのでしょうか。


 
 

何も理由がない場合でも不安になる


なんだか気持ちが落ち着かない、ドキドキする、心細い気持ちになる、といった不安や緊張は誰しも感じるものです。何か気がかりなことがある場合や、目上の人や初対面の人に会うとき、試験前などにドキドキすることは普通の感情であり、そのような場合には全く病気ではありません。不安になる原因が無くなれば消えていきます。
 

しかし不安障害で問題になるのは、そういった理由や原因が無いにも関わらず「落ち着かない」「胸がドキドキする」などの症状に見舞われる場合です。病的な不安の場合には、別段心配事がなくてもドキドキが収まらないことや不安感を抱き続けることが挙げられます。理由もないのに不安になるという場合には、向精神薬に抵抗が無ければ精神科や心療内科、自己の考え方の認知の歪みを正すための認知行動療法や気持ちの整理をつけるためにカウンセリングなどを受けて話を聞いてもらうこともいいでしょう。


 
 

不安は対象が存在しない


精神医学的には、「不安とは対象のない恐れの感情」と言われています。そして「恐怖とは対象があるものへの恐れ」を指すのが一般的です。そして不安の場合には身体にもその症状があり「胸がドキドキする」「発汗が止まらない」「ふらふらする」「眠れない」「偏頭痛」などの様々な身体的症状が現れます。これは、自律神経の交感神経によるものですが、自律神経は感情と大きく関係しており、不安感がより一層自律神経を乱れさせます。不安を収めようと思えば自律神経を鎮めることとも言えます。


 
 

恐怖症という不安障害の一種も


恐怖症には、「社交恐怖(人前で異常に興奮し恥をかくことを恐れる)」「特定の物事に対する恐怖症(高所・閉所・動物・暗闇・特定の状況や対象など)」があります。急性的なパニックには至りませんが、漠然とした不安が長期間にわたって起こる場合があります。身体疾患などでも起こる不安を全般不安といいます。
 

原因となる一般身体疾患は心不全、肺塞栓症、不整脈、甲状腺機能亢進症や低血糖などの内分泌疾患、脳炎などの神経系疾患。心血管系・呼吸器系疾患、などで、その原因となる物質は、カフェインや、覚せい剤などの違法薬物の乱用、アルコールや医療で投薬された鎮痛剤、精神系の抗不安剤などの薬を止めたときに起こる離脱症状でもあります。これらの場合においては、不安の原因は身体疾患や薬剤によるものであるので、不安という形で表れていても、きちんと医療機関で検査し診断する必要が出てくるでしょう。


 
 

精神疾患にも多い不安の症状


うつ病や統合失調症などの精神疾患にかかっても、不安は出てきます。「うつ病」では強い自責の念に駆られることや、何事にも前向きに考えられないという特徴が出てきます。また、「統合失調症」では、幻聴や妄想などにより現実生活が脅かされて、不安感を体験することが多いです。また、心気症になると、体や病気に対して過剰な不安を抱えるようになります。「適応障害」の場合、不安の症状としては「うつ」の症状が現れます。また、子供の場合には、親や愛着のある相手から引き放されることに恐怖を感じる「分離不安障害」などがあります。
 

不安だと感じることは、あらゆる場面で引き起こされるものですが、適切な程度であればそれほど問題の多いものではありません。テストなどで不安になる場合には、きちんと勉強をして不安を取り除くようにすることもいいですし、人前で話をする場合には、練習を重ねておくことでも不安は軽減されます。また、現実をあまり深刻に考えないことでも、状況が良くなる場合もあるでしょう。あまりに不安な症状が治まらない場合には、専門機関でカウンセリングなどを受けて自分の認知を正していくのもいいかもしれません。一人で考えていても不安になる場合には、誰かに話して気持ちを和らげましょう。

 

 

不安障害 「ケース」


不安障害にはどのようなケースがあるのでしょうか。当セラピーに来られたクライアントの代表的な事例を幾つか紹介します。


 
 

電車の中でパニックを起こしてしまう20代の女性


女性は電車に乗るときに理由もなく息苦しさを感じるようになりました。電車の中で人が混み合う環境になると、胸が締め付けられるような思いや動悸・息切れ、頭痛や目まいなどを起こすようになり、電車に乗ることが怖くなってしまいました。それまでも頑張って電車に乗ることがありましたが、発作がいつ来るのかという不安感に精神が苛まれるようになり、辛い思いの再発が怖くなり、外出もままならなくなりました。おかしいな。と感じたことで治療を行っていきました。不安障害の中でもパニック障害に該当するこの事案には、カウンセリングにより容易に原因が特定できたため、認知行動療法を取り入れ問題解決するに至り、その後は問題なく電車に乗れるようになりました。


 
 

不安事が尽きない40代の女性


主婦として家計を切り盛りしている専業主婦の女性でしたが、夫が失業したらどうしよう。子供が学校でいじめられてはいないだろうか。などの心配をするようになりました。心配する気持ちが大きくなり過ぎて、次第に家事が手につかなくなり、身体の倦怠感や目まいなどを覚えるようになり、寝込む日も多くなりました。家庭の様子を聴いたところ、旦那さんもきちんと仕事をこなし、子供も元気に学校に出かけている様子なので、心配のし過ぎであるようにも思えるのですが、この女性の不安は尽きません。ご主人の勧めでカウンセリングを受けに来られるようになりました。カウンセリングを進めていく中で、自分の不安がどこから生まれて来たものかをよく理解し、考え方の捉え方を構築し直すことにより不安障害は改善されました。


 
 

学校の発表で恥をかくのが怖い10代の男性


学校で発表する時間が定期的にあるのですが、10代の男性はそのときに毎回極度に緊張するようになりました。予習復習なども自分なりに真面目にこなしていましたが、それでも不安になりました。次第に、発表をするのが苦痛でしか無く、学校を休みたいと思うようになりました。学校の発表で間違えることで、先生や友人に馬鹿にされたりするのが怖くなり発表が怖くなりました。既に学校にも行けないくらいの不安感になり不登校の危機を感じ、カウンセリングを通してその不安感を緩和していくと共に、正しい認知を受け入れることにより、不安感は和らいでいき、学校に行くようになりました。


 
 

発表が苦手で、朝の朝礼などが苦痛で会社を休みがちな20代の女性


学生時代には全く問題なかったのですが、会社に入ってから、朝礼や会議などで発表する機会が増えたときに、不安を感じるようになりました。自分の言っていることに自信が持てないことや、よく分からないまま発言していることを感じていて、誰かに何かを指摘されるのではないかという思いが強くなり、発言するのが怖くなりました。仕事を思うように進められず、発表することにも緊張をするために、段々会社に行くのが嫌になり、腹痛が増え、不眠になったりと、とうとう体調不良に陥るようになりました。会社を暫く休職し休養を取ると共にカウンセリングに通って頂き治療を進めていきました。現在は以前とは違い随分と肩の力も抜けお気楽な気持ちで事にあたることが出来るようになりました。


 
 

異性との話が苦手な30代の男性


異性と話すことが苦手な男性は気になる女の子は出来るものの、どうやって話しかけたらいいのかもわからず、自分は女性が苦手なのだ。とそんな考えを持つことでそれまで特に何も手を打たないまま過ごしていました。しかし、その一方では結婚もしたい家庭を持ちたいとも考えていて、自分の女性に対する以前からあるよく分からない不安感をなんとか取り除きたいと考えていました。カウンセリングを行って治療を続けていったところ、女性に対する苦手意識が薄らいでいき、無事念願の恋人も出来たようです。


 
 

人前で食事ができない男子大学生


人に食べているところ見られたり、ひとりで食べていることを何か言われたりするのが嫌なために、学生食堂やレストランなどでご飯を食べられない男子学生がいます。周りの人の話声が気になってしまうことや、自分の様子を皆んなが見ていることで緊張してしまい、人前で何かすることの全てが緊張して怖くなり避けてしまいます。食事の時間が怖いので結果学校に行けなくなっていました。そんな中でセラピーに通って頂くようになり、カウンセリングを続けていく内に、緊張や不安はしっかりとした自己肯定感を持つことにより次第に緩和されていき、最終的には友人達と談笑しながら食事をしても大丈夫になりセラピーでの取り組みを終えていきました。

 

 

不安障害 「原因」


不安障害にかかる原因にはどういったものがあるのでしょうか。それには身体的な要因の場合もあるが、やはり育った環境により培われた物事の捉え方や気質・性格などの後天的な要因が主流です。後天的なものであれば回復の可能性も期待出来ます。


 
 

脳機能の異常


不安障害の原因は医学的にはまだ十分には解明されていません。かつては、不安障害も心理的な要因が主な原因であると考えられてきましたが、最近の脳研究の進歩により、脳内神経伝達物質系が関係している脳機能異常(身体的な要因)があるとする説も有効になってきています。また、社会的な要因なども、心理的要因の背景にあります。
 

時代や住んでいる国や地域の文化などによっても、物事の受け止め方や考え方は変わってきます。日本人には「恥の文化」という他の国には無い独特な感覚を持つ人も多く、周りからどのように思われているかということに不安を感じるケースなどが目立ちます。そして「恐怖症の多くは対人恐怖症」が多いのですが、最近では、人の目を気にしない生き方というものも主流になってきており、また、外国などにいくと誰も自分のことなど気にしていないことを肌で感じ、不安障害などが改善してしまうケースもあります。


 
 

社会不安障害は、育ち方や社会的な経験による場合が多い


不安障害の場合においては、遺伝的な要因よりも、育ち方や社会的な場面での経験などの環境的な要素が明らかに大きいのです。厳しく育てられたり、また過保護過干渉であったり、子供を褒めない認めない親もその要因を作り出す結果となります。本来なら、よくできたね。と褒められたり、やればできるよ。と励まされたりすることが子には必要なのですが、それを親から受けられなかった子供は不安障害にかかるケースも多くなります。後ろ盾になってくれる父親がそれどころか叱りつけてくる、母親は心配性で子供の前でも不安を煽る発言をする、こんな状況であれば不安障害に限り無く近い存在になってしまうのは必然です。
 

ストレス状況下において、どのように振舞えばよいのかということを学ぶ機会が少なかったことや、何かの困難に立ち向かって失敗や成功を体験して上手くいったと思うことが少なかったことが関係してきています。自分の中でいろいろな成功体験を積み重ねていくことで、自分の自信につながっていく場合もあるのですが、そういった経験が少ないことが原因になっている場合もあります。


 
 

過去に失敗した体験を持つ場合


人の注目が集まる中で「屈辱的な扱いを受けた」「恥ずかしい思いをした」「頭が真っ白になったりした」など人前での自分自身の失敗体験などが影響している場合もあります。また、他人が失敗しているのを見て、それを無意識に自分に置き換えてしまう場合もあります。心の中では、「大きな失敗をしてしまった」と過剰に自分を責めたりします。こうした嫌な体験を経験することで、嫌な部分ばかりを強調し考えてしまい、もう二度とこんな思いをしたくないと感じることで、今度はその状況を回避しようとするようになり、不安感や恐怖感は一層増していくことになります。


 
 

性格的要因による場合も


自分を常によく見せようと思うことや、他人からの評価を気にしすぎる場合や、また、引っ込み思案で人見知りが激しい性格の場合には、人前で失敗することを過剰に恐れるために、恥をかきそうな場面からは逃げる行動をとります。そして、それが社会不安障害に発展しやすくなります。前向きな性格の人は失敗してもクヨクヨ悩まずに、挑戦していくので「成功体験」を得やすく、その経験により自分に自信が持てるようになり当然不安障害は起こりにくいと言えます。引っ込み思案な子供の場合には、一方の親には同様に人見知りや引っ込み思案である傾向が強いです。親の回避行動を見ることにより子供もそれを学習してしまう面があるのは当然です。


 
 

遺伝的要因


生まれつきの脳内の神経伝達機能になんらかの異常があることにより発症する傾向があります。この遺伝的要因により、極度の緊張につながっていき、発症のしやすさに繋がっていくものとみられています。家族に社会不安障害を抱えている人がいる場合には、抱えていない場合よりも約3倍の確率で発症する場合が多いと言われています。


 
 

環境要因


社会不安障害の方の子供の場合、特に母親の回避行動パターンと似てきます。両親の子供への過保護は何か行動を起こすときに先回りしてしまうことで、それが子供の対応能力を育む邪魔になっている可能性があります。従ってストレスがかかる状況になると、予期不安を強く感じ、回避行動をとります。両親が社会不安障害であれば尚更、子供も同じように社会不安障害となる確率は相当なものとなります。

 

 

不安障害 「対策と克服」


不安障害の対策と克服に向けて、どのような方法で行っていくかなどは、事前に相談者とカウンセラーがよく話し合って行い、計画的に実施します。認知行動療法は簡単なものではなく、よく訓練を受けた熟練した専門家による指導が必要になります。


 
 

暴露療法


通常は「段階的曝露療法」といって、恐怖症の対象をその不安の度合いにとって、0から100まで段階付けし、容易な段階から挑戦しそれが出来れば更にその上を目指していくというやり方で行動練習を行っていきます。一人で出かけることが出来ないケースでは、家族や身近な人と一緒に出掛けてみることから始め、一人で行動する時間も作ることや、それが出来れば、一人の時間を増やしていくなどして、無理をせず少しずつ成功体験を積み上げていくことで、自信を付けていくことがいいでしょう。不安を感じる方法でもあるので、あまり無理をしないことが肝心になります。その不安に段々と慣れていくと、その状況に陥っても、不安を我慢できることや、上手く対応できるようになるでしょう。


 
 

認知行動療法


不安の予兆に対して、いつも最悪の事態を予測してしまう考え方の癖に気づいて、「これはそのうち収まる不安だから、時間がたてば大丈夫。」と言葉にして自分に言い聞かせることで、自分の考え方を徐々に修正していきます。自分の考え方がなかなかコントロールできない場合には、カウンセリングなどを受けることで、提案を得るというのも良い方法です。自分で考えていると、分かってはいるけれど、どうしてもその思考回路に陥ってしまうことになるので、その考え方に変化を与えていきます。なんでもないことなのだ。大丈夫だ。と思えるようになることで、不安が解消していくケースも多いです。考え方がネガティブになってしまうと、良くなるものも滞ってしまう場合もあります。ポジティブに考えることで、落ち着きを取り戻す場合も多いですので、大丈夫であるということを自分に言い聞かせるのもいいでしょう。何が不安なのかということを探ってみるのもいいかもしれません。不安の原因がなんであるかを自分で知れることでも、安心できるでしょう。


 
 

不安にならないような対策を取っていくことも大切


ただ漠然と不安を抱えているのであれば、その不安を解消するような行動を起こすこともいいでしょう。スピーチが苦手というのであれば、下書きをして中身をしっかり覚えるようにしてみることや、発表が不安であれば、資料をきちんと作って質問なども想定しておくことなどもいいでしょう。最初は失敗することもありますが、その失敗を教訓にして次は頑張ろうとすることもいいでしょう。それでも不安な場合もありますので、そういった場合には、一度行動を起こしてみるというのもいいかもしれません。不安を解消できるような行動をとることで不安が和らいでいくこともあります。


 
 

通期的に行うことが無理であれば、回数を減らして行うこともあり


体験を通して、この場合ならこのくらいかな。ということが理解できると不安が減ってくる場合もあるのですが、何もわかっていない場合には漠然とした不安がある場合もあります。そういった意味では、不安になる環境にも自分の身を置いて、そのことに取り組んでみることも必要になります。精神医学的には森田療法になりますが、辛さを抱えつつも通常の生活を行っていく上でだんだんと適応してくることもあります。もちろん無理はいけませんが、少しずつ、その環境に身を置いてみることや、逃げないことも必要になってくるでしょう。いつも行うことが難しい場合には、少しの期間から始めて、成功体験を積み重ねていくことも大切です。案外自分ってできるのだな。と感じることができれば、少し不安や緊張が和らぐことにもなるでしょう。不安の原因になるストレスを緩和させることも必要になります。ストレスになるものとの接触時間を調節して、自分の中での対応を工夫していくのがいいでしょう。